本研究は、高齢者が在宅生活を送るために必要最低限の行為である「医療受診・食料品購入」について①自宅から目的施設まで移動する「移動型(通院、商店に移動する)」②自宅もしくはその近くでサービスを受ける「訪問型(在宅受診、宅配、移動販売)」に着目し、自立高齢者の生活形態にあったサービス導入の可能性について明らかとすることを目的としている。 平成24年度は、兵庫県猪名川町の在宅高齢者を対象にアンケート調査を実施した。医療受診、食料品購入ともに現状では移動型が多い点が共通しているが、ニーズについては医療受診は訪問型、食料品購入では移動型と異なる結果であり、特に、食料品購入では、他者と共に商店まで出かける場合、歩行能力による影響が少ないことを明らかとした。 研究計画段階では「医療受診・食料品購入」には地域特性の影響があると仮定し、「自宅から施設までにかかる時間距離」と「医療機関・商店の数(施設の選択自由度)」を設定したが、今回の調査においては地域特性による変化はあまり見られなかった。 前年度の結果から、食料品購入行動には外出時の同伴者の有無が関与すると考え平成25年度は前年度に実施した調査データから高齢者の世帯構造に着目した。結果から、高齢となってからも自身で食料品を購入するために商店まで移動する割合が高いのは「独居」「ひとり親と未婚の子」世帯であった。これら世帯構造では食料品購入のサービスニーズに移動手段を挙げる割合が高い。一方「夫婦のみ」「夫婦と未婚の子」では、夫に比べて妻が購入している割合が高く性別による違いがあらわれた。商店までの移動手段は自分や同居家族が運転と自家用車の利用が高い世帯であるが、他の世帯構造と比べて現状に対する満足度が低い点が特徴であった。「三世代」世帯においては自分以外の家族が購入する割合が高く、現状に対する満足度が他の世帯と比べて最も高いことを明らかとした。
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