本研究では、12 世紀から15 世紀初期にかけて建設されたトルコ共和国内のイスラーム墓廟建築を対象に、5回の現地調査を通して110棟以上の墓廟の現状を把握するとともに、詳細な画像データや実測データを得た。 得られたデータを用いて、各遺構の所在地域や創建年代を考慮し、墓廟建築の内部構成・外部構成・装飾形式の地域的・時代的特性を明らかにした。 さらに、建築技術的側面から同地域のキリスト教建築との比較を通して、墓廟建築の展開に関するいくつかの系譜の存在を指摘し、墓廟建築のもつ歴史建築としての評価を明確にし、中世アナトリアにおける建築文化の潮流の一端を明らかにした。
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