本研究では、中世後期から近世にかけての神社建築と景観を対象に、建築と境内、周辺環境が一体となって形成してきた歴史的環境を捉え、信仰とともに人々が神社に求めた景観と特質について解明を試みた。そのうち三輪山における大神神社では、「禁足地」の成立と変遷について、絵図に描かれた景観との相関を捉えつつ分析を行った結果、「禁足」の制定が本来は三輪山の全体保護を前提とした部分保護でありながら、「禁足」という人と自然との関わり方において、「禁足地」が「留山」としての三輪山全体を象徴する領域として位置づけられていったと考えられ、そうした重層的な在り方は「禁足」の制定以前の絵図に描かれていたことを指摘した。
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