研究課題/領域番号 |
24760522
|
研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
小粥 祐子 昭和女子大学, 人間社会学部, 助教 (60398708)
|
キーワード | 唐紙 / 江戸城 / 武家屋敷 / 室内意匠 / 障壁画 / 柱真装置 / 文様 / 色 |
研究概要 |
近世武家住宅の室内意匠において、最も重要な要素は柱間装飾と天井の仕上げである。本研究は、近世武家住宅の唐紙による柱間と天井の装飾用例について検討するものである。本研究の研究方法として、前年度は、近世文書および図面などから唐紙の用例を探し出す史料調査と近世武家住宅遺構の調査の2つの方法を取ってきた。今年度は、唐紙の用例に関する史料調査に重点を置いて行った。今年度行った史料調査は、①幕府関係、②大名家の2つに分類することができる。 ①幕府関係 幕府作事方大棟梁甲良家文書調査:徳川幕府作事方の大棟梁甲良家が江戸城をはじめとする幕府の建築物を建てる際の積算のために記した本途帳が30点近く東京都立中央図書館特別文庫に所蔵されている。そこで、これら本途帳から唐紙に関する記述を探し出した。内閣文庫多門櫓文書:徳川幕府の勘定方が残した幕府が購入あるいは注文した様々な物品の出納帳が国立公文書館に所蔵されている。そこで、これら出納帳より唐紙に関する記述を探し出した。 ②大名家 真田家文書調査:松代にある真田御殿は現存する近世武家住宅で、唐紙が用いられていたことが分かっている建物である。この真田御殿の作事に関する記録が、国文学資料館と松代真田宝物館にある。今年度は、まず、国文学資料館に所蔵されている真田家文書より唐紙に関する記録を探し出した。来年度は、真田宝物館に所蔵されている真田家文書を調査する予定である。今治城本丸御殿:今治城に関する図面資料を収集した。当初の計画では、今年度中に唐紙に関する記載があることが分かっている本丸御殿の図面を調査する予定であったが、その所在が分からなくなってしまったため、来年度に調査することとした。 ③そのほか 前年度に引き続き、「京からかみ」「江戸からかみ」に関する文献資料を収集するとともに、関係者へのヒアリングを行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
全体的に文書調査は順調に進んだが、今治城本丸御殿のように史料所蔵先が当初把握していたところから変わっていたために計画通りに進まないこともあった。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度にあたるので、躊躇せず積極的に史料調査へ出向く時間を確保したい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度、史料調査へ行く予定であった熊本県熊本市・愛媛県今治市での調査が実行できなかったため。 これまでに史料調査へ行く予定であった熊本県熊本市・愛媛県今治市・長野県松代市への調査を最終年度に行う予定である。
|