近世武家住宅における柱間と天井の装飾方法のうち、唐紙による装飾の用例について遺構および史料調査から明らかにした。 遺構調査からは、唐紙の用例を桃山期の都久夫須麻神社本殿天井絵まで遡れること、類似する用例が寛永期の名古屋城本丸御殿上洛殿と湯殿書院の天井絵に見られる事が分かった。 史料調査からは、金沢城の御殿では江戸と地元の唐紙とが併用されていることを確認した。また、江戸城について、西丸御殿において唐紙が最初に使われる事例は慶安期の大奥であること、弘化期の本丸御殿において金砂子で加飾した唐紙が用いられたことを確認した。
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