研究課題/領域番号 |
24760524
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
亀井 靖子 日本大学, 生産工学部, 准教授 (50386083)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 住宅ストック / マー・ヴィスタ・トラクト / 維持管理 / インテグリティ / 持続可能 / 住宅評価 / ボランティアガイド |
研究実績の概要 |
1.ロサンゼルスの郊外戸建住宅地マー・ヴィスタ・トラクト(1948年/グレゴリー・エイン)の追加調査を行った。前回の調査から10年が経過した住宅地では、52戸中17戸が新しい居住者に変わっていた。その内6戸でヒアリング・訪問調査を行った結果、居住者の年齢や家族構成はバラバラで、住宅地として良好に住み継がれていることが分かった。また、新規居住者17戸もボードメンバー(管理組合)がすべて把握しており、コミュニティーもしっかりしている。HPOZ(歴史的保存地区)に指定されてから、不動産価格も上がり、住宅地としての評価も高くなっているが、改築・改修された住戸を見ると、新規居住者の建築的価値への理解は必ずしも十分でない。グレゴリー・エインの設計主旨とこの住宅の価値を新規居住者にしっかりと伝える必要がある。 2.1970年から10年ごとに分譲住宅の新聞広告のキャッチコピーを調査・分析した。年代を追うごとにその表現が、修飾語も被修飾語(項目:家・すまい/街・周辺環境/その他)も抽象的なものから具体的なものに移っていることが分かった。 3.住宅の維持保存や建築の評価の確立を一般に定着させるためには、まず建築に関心を持ってもらい、建築の評価について理解していただくことが大切と考え、建築ボランティアガイドを行っている建物を対象に参加型ヒアリング調査を行った。まだ事前調査の段階であるが、建築の専門家でない地域住民がガイドとして活躍しており、こうしたガイドのシステムが普及すれば建築の評価の確立につながると考えられる。また、住宅をストック(資産)と考え、居住者がその価値を認識して維持管理するきっかけにもなる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
学務の業務・学会等活動が増え、担当授業数も多いことから、研究・調査に充てる時間がほとんど確保できなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
1)マー・ヴィスタ・トラクトの住戸の履歴情報の収集と分析。 2)ドコモモジャパン選定住宅の維持管理等調査(継続) 3)1970年代以降の分譲住宅地の変容と販売時の広告との関係についての資料・観察調査 4)ガイドボランティアについての参加型調査 1)~3)の資料収集や整理については学生アルバイトや外部委託にお願いする予定である。また4)については、倫理規定等を順守し、無理をせず地道に調査を行う予定である。最終年なので今までに取り組んだ調査資料のまとめ分析を中心に行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
学務や学会等業務が増え、実質的に研究・調査できる時間がほとんど確保できなかったため。 就職活動などが理由で予定していた学生アルバイト(資料整理等)を確保できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
外部委託もしくは学生アルバイト雇用で遅れている戸建住宅の資料整理等を行う。資料整理が終わり次第、途中になっている研究について調査・分析を行い、研究成果をまとめる。 ドコモモ国際大会(リスボン)にて資料収集と建物評価についての現地調査を行う。また、本研究と関連する見学会・シンポジウムや報告会などには積極的に参加し、研究交流を行う。
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