研究課題/領域番号 |
24760530
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 横須賀市自然・人文博物館 |
研究代表者 |
菊地 勝広 横須賀市自然・人文博物館, その他部局等, 学芸員 (80321892)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 横須賀製鉄所 / 横須賀造船所 / 建築技術史 / ヴェルニー / ティボディエ / モンゴルフィエ / 国際情報交換 / フランス |
研究概要 |
当該度は、横須賀製鉄所のフランス語文献資料について、整理と解読作業を行った。主として、横須賀製鉄所首長ヴェルニーの子孫に伝来するヴェルニーの来歴書の翻訳、ブレスト海軍工廠の煉瓦製造法に関する技術書の翻訳、フランス防衛資料館所蔵の横須賀製鉄所関連資料目録の翻訳および収集資料の整理などを行った。資料整理の過程では、重要文献の選別、高画質での再撮影を要する重要資料の優先順位の設定が進んだ。 ヴェルニーの来歴書については、横須賀着任前の中国寧波での造船所建設に関する実績などが記されており、フランス系建設技術の横須賀への伝来経路について、今後の研究の方向性に示唆を与える内容が含まれており、記述内容の分析を更に進める必要がある資料であると考えている。 また、これまでの研究により、横須賀製鉄所とブレスト海軍工廠の煉瓦寸法規格が共通している点を明らかにしてきたが、当該年度の翻訳・分析作業では、ブレスト海軍工廠の煉瓦製造法に関する技術書の翻訳を進めた。この成果については、横須賀製鉄所の煉瓦製造技術の源流を探る上で示唆を与える可能性があり、両者の煉瓦製造法に関する比較検討素材と成りうるため、成果の活字化を優先して進める計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果は着実にあがっているものの、複写済みのマイクロフィルム資料の中には、画質的に解読が困難なものも多数含まれており、原本の再撮影が必要な資料が存在する点が課題である。 また、横須賀製鉄所フランス人技師子孫との研究交流が増える中で、資料の所在情報も増加しており、研究事業としては「おおむね順調に進展している」ものの、収集・分析すべき資料に対しての進捗具合としては、今後の進展に課題を残している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
先ず、横須賀製鉄所フランス人技師の子孫との研究交流が進展しており、資料や資料所在情報の蓄積が進んでいる。資料の収集と調査では、これらの情報を活用する事により、調査の更なる効率化が可能であり、調査計画に役立てたいと考えている。しかしながら、資料の所在情報が増える一方で、把握している資料の現存量は、研究期間中に複写作業すら終えられないほどの量に達する見込みとなっており、収集資料の優先順位を設定する作業が重要となってきている。この点について、当該研究テーマに理解のある翻訳支援者との交流により、作業の効率化を図っていく計画である。 また、研究に関する支援協力の申し出も出てきており、当該研究テーマに関する協力体制整備を検討している。 仏文の分析については、手書き資料が多く、仏文解釈作業では、歴史資料の実績のある者との共同作業を増やして対応する計画である。 本研究事業の推進において課題となっている原本の再撮影が必要な資料群への対応については、当該研究テーマにとって重要なものの優先順位を設定する作業に併せて、効率的な対応方法の検討を進めている。 また、横須賀製鉄所の建設に先立っては、首長のヴェルニー等のフランス人技師が中国寧波にて造船所の建設を行っており、フランスから中国に導入された近代的建築技術との対比も視野に入れて、技術移転に関する研究の更なる補強を検討している。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は、収集済み仏文資料の翻訳量を増やす計画である。また、資料複写を良好に行うために必要な撮影機材の整備、大容量データの保管・移動・運用に必要な機器類等の機器を更に整備する計画である。
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