横須賀製鉄所の歴史は、日本の工業技術発展の根幹に結び付いている点で重要といえる。度量衡については、メートル法を先駆的に導入し、1尺を303㎜と換算する等、尺貫法を今日に近い数値で換算していた。更に、幕末期から耐震を意識していたことが明らかとなった。特に、第1号船渠では、耐震性と維持費の検討結果から、浅瀬に建設する方式から半島を掘り込んで建設する方式に設計変更され、地盤を強化する工事も行われていた。建物についても地盤改良と基礎工事を意識して行っていた事が明らかとなった。耐震の検討の前提となる材料研究についても、強度試験を含む本格的なもので、今日と同様に材料の変形解析も行われていた事が確認された。
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