• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

シリコンクラスレート化合物の単結晶化による高性能熱電発電材料の探索に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 24760538
研究種目

若手研究(B)

研究機関九州大学

研究代表者

宗藤 伸治  九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20380587)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード熱電材料 / クラスレート / ゼーベック係数 / 比抵抗 / 移動度
研究概要

これまでの研究でBa : Al : Si = 8 : 12 : 34でクラスレート単相の多結晶が得られることは分かっていた。そこで、本年度はチョクラルスキー法(CZ法)によるBa8Al12Si34クラスレートにおける単結晶作製を行った。CZにより作製された結晶においてWDXによる組成分析を行った結果、CZ法における融液の仕込み組成をBa8Al16Si30とした場合、得られた結晶はBa8Al12Si34となることが分かった。また、得られた結晶を粉末状にした試料での粉末XRD解析の結果、得られた結晶はクラスレート構造を有しており、多結晶作製時に生成されるBaAl2Si2不純物相は、ほとんど含まれていないことが確かめられた。また、EBSP解析の結果、cmオーダーの巨視的な単結晶であることも確認できた。このサイズの単結晶BaAlSiクラスレートは研究代表者が知る限り報告された例はない。さらに、CZ法による結晶引き上げ時の種結晶の回転数、引き上げ速度などは結晶の品質、組成変動への影響は少ないことが分かり、最も影響の大きい要因は融液の温度であることも分かった。
室温から500℃の温度領域における比抵抗・ゼーベック係数測定を行った結果、同じ組成の単結晶と多結晶ではゼーベック係数は大きく変わらないが、比抵抗に関して、単結晶は多結晶に比べて約半分の値を示すことが分かった。これは、単結晶化により粒界によるキャリア散乱が無くなり、電子移動度が上昇したためと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Ba-Al-Si系クラスレートをチョクラルスキー法を用いて単結晶化した報告例は研究代表者が知り得る限り無い。しかしながら、チョクラルスキー法によるシリコンの単結晶引き上げのトップメーカーである株式会社SUMCOの研究協力のもと、条件の探索を行った。また、各種の分析に必要な装置は、研究代表者の所属している研究部門が既に所有しており、新規購入による時間的ロス無く分析は進められた。熱電性能評価に関しても比抵抗測定、ゼーベック係数測定、熱伝導度測定が必要であるが、これらの測定装置に関しても、研究代表者の研究室既存のものが稼働しており、計画通りに研究が遂行されたと考えられる。

今後の研究の推進方策

本年度の研究において、単結晶Ba8AlxSi46-xクラスレートの作製に成功した。しかし、キャリアである電子濃度が高いため、ゼーベック係数が小さいものとなっている。そのため、キャリア濃度を低くすることにより、ゼーベック係数を大きくすることにより性能向上が試みる。Ba8AlxSi46-xクラスレートでは、x=16の結晶が作製できた場合、真性半導体となり、キャリア濃度が最小となる。そこで、本年度に作製したBa8Al12Si34クラスレートの作製条件を元に、融液のAl含有量を増やしたAlリッチな融液からの単結晶引き上げにより、Al組成比の大きい単結晶作製を行うことにより、n型Ba-Al-Siクラスレート結晶の高性能化を試みる。Ba8AlxSi46-xクラスレートにおいて、x>16の結晶はp型半導体になることが予測されている。熱電発電モジュールの作製には、n型・p型の両方の材料が必要であり、溶液の組成および引き上げ時の温度などの最適条件を探索することにより、p型Ba-Al-Siクラスレート結晶の作製も試みる。また、高性能な材料が作製できた場合、熱電発電モジュールの試作を行う。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Synthesis and thermoelectric properties of p-type Ba8AuxSi46-x clathrate2012

    • 著者名/発表者名
      Makoto Saisho, Liu Bin, Yuya Nagatomo, Yusuke Nakakohara, Ryo Teranishi and Shinji Munetoh
    • 雑誌名

      Journal of Physics Conference Series

      巻: 379 ページ: 012009

    • DOI

      10.1088/1742-6596/379/1/012009

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Thermoelectric properties of single crystalline Ba8AlxSi46-x clathrate by using flux Czochralski method2012

    • 著者名/発表者名
      Yuya Nagatomo, Naoki Mugita, Yusuke Nakakohara, Makoto Saisho, Mikihito Tajiri, Ryo Teranishi and Shinji Munetoh
    • 雑誌名

      Journal of Physics Conference Series

      巻: 379 ページ: 012008

    • DOI

      10.1088/1742-6596/379/1/012008

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Annealing Time Dependence on the Phase Equilibria and Thermoelectric Property of Type-I Ba8Cu6Ag2Si38 Clathrate2012

    • 著者名/発表者名
      Bin Liu, Makoto Saisho, Yuya Nagatomo, Takuya Oka, Toshiko Osada, Hideshi Miura, Osamu Furukimi, Shinji Munetoh
    • 雑誌名

      Journal:Applied Mechanics and Materials

      巻: 310 ページ: 59-62

    • DOI

      10.4028/www.scientific.net/AMM.310.59

    • 査読あり
  • [学会発表] Ba8CuxSi46-xクラスレート化合物の熱電性能2012

    • 著者名/発表者名
      最所 誠、長友雄也、Liu Bin、宗藤伸治、古君 修
    • 学会等名
      第九回日本熱電学会学術講演会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20120827-20120828
  • [学会発表] Synthesize of n and p-type thermoelectricmaterials type-I Ba8CuxAgySi46-x-yclathrates by act-melting and annealingmethod2012

    • 著者名/発表者名
      Liu Bin、最所 誠、長友雄也、古君 修、宗藤伸治
    • 学会等名
      第九回日本熱電学会学術講演会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20120827-20120828
  • [学会発表] CZ法によるBa8AlxSi46-xクラスレートの単結晶作製及び熱電性能評価2012

    • 著者名/発表者名
      宗藤伸治、長友雄也a)、最所 誠a)、古君 修a)
    • 学会等名
      第九回日本熱電学会学術講演会
    • 発表場所
      東京工業大学
    • 年月日
      20120827-20120828

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi