通常Ba8AlxSi46-xクラスレートでは、キャリアである電子濃度が高いため、ゼーベック係数が小さくなってしまう。そのため、キャリア濃度を低くすることにより、ゼーベック係数を大きくすることにより性能向上が試みられている。Ba8AlxSi46-x クラスレートでは、x=16 の結晶が作製できた場合、真性半導体となり、キャリア濃度が最小となる。そこで、昨年度までに作製するBa8AlxSi46-xクラスレートをチョクラルスキー法により作製する過程において初期融液のAl 含有量を増やしたAl リッチな融液からの単結晶引き上げにより、Al 組成比の大きい単結晶作製を行うことにより、n 型Ba-Al-Si クラスレート結晶の高性能化を試み、Al 含有量を増やした融液中からは、Alを多く含んだ単結晶の引き上げが可能であることが分かり、高性能な材料の作製に成功した。本年度は、それらの材料を利用し、176個のn型素子で構成されたユニレッグ型の熱電発電モジュールの作製を試みた。モジュールの下面を500度に加熱し、上面を空冷におり冷却したところ、開放電圧が約1.0V、短絡電流が約0.5Aとなり、約0.13Wの出力を得ることに成功した。
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