研究課題/領域番号 |
24760539
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
新田 紀子 高知工科大学, 公私立大学の部局等, 講師 (80412443)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 電子照射 / 半導体 / ナノ結晶 / バリアント / 電子顕微鏡 |
研究概要 |
化合物半導体GaSb(アンチモン化ガリウム)、InSb(アンチモン化インジウム)単結晶に低エネルギー(125 keV)の電子線を100℃以上で照射したとき、内部に結晶方位のそろったナノサイズの微結晶が形成されることを新しく見出ている(N. Nitta et al., Philo. Mag. Lett. 91 (2011))。このナノ結晶の形成メカニズムの解明および他の系の探索が本研究の目的である。加えて半導体中のナノ結晶は、バルクとは異なるエネルギー準位を持ち、新しい発光特性を示すことが期待されるが、現在のところナノ結晶のサイズ制御はできていない。本研究では、発生するナノ結晶のサイズと電子線照射条件との関係を調べ、サイズ制御方法を検討する。さらにその発光特性について調べ、新しい光デバイス創製をめざす。 平成25年度は、電子線照射量と温度を変化させ実験を行った。加えてGaSb、InSb以外の他の系にナノ結晶が発現しないか確かめるために、種々の化合物半導体および元素半導体に対して照射実験を行った。 GaSb、InSbでは、ナノ結晶は照射時間が長いほど、また照射温度が高いほど、大きさと密度が増加した。これはナノ結晶形成が原子のすべりによる部分転位の導入によって引き起こされるため、試料内に蓄積される応力が大きくなる照射時間の増加と、すべり運動の速度が速い高温の方が変形量が大きいためと考えられる。一方、Si、Ge、GaP、InPでは照射前後でナノ結晶の形成は確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定していた照射条件(加速電圧、照射量、流束、温度の4種類)のうち、照射量と温度の2種類について実験が終了した。GaSb、InSb以外の他の系では、Si、Ge、GaP、InPについて確認が終了している。試料形状(バルク、薄膜、微粒子)を変化させた実験と、イオン照射で異常な挙動を示しているAlSbへの照射は行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、電子の加速電圧、流束の違いによる変化を観察する。特に超高圧電子顕微鏡によって、高エネルギー電子照射を行い、低エネルギー電子照射結果と比較を行う。加えて、ナノ結晶が、照射時の真空度の違いによって、GaSb、InSbでも形成されないことが今年度判明ている。そこで照射時の真空を変化させ実験を行う。形成されたナノ結晶の発光特性に関して、各サイズの試料においてフォトルミネッセンス測定を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
化合物半導体単結晶基板 電子顕微鏡フィルム 写真現像用薬剤 大阪大学超高圧電子顕微鏡センターでの実験 研究成果発表(日本金属学会(春・秋))
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