研究実績の概要 |
化合物半導体GaSb(アンチモン化ガリウム)、InSb(アンチモン化インジウム)単結晶に低エネルギー(125 keV)の電子線を100℃以上で照射したとき、内部に結晶方位のそろったナノサイズの微結晶が形成されることを新しく見出ている(N. Nitta et al., Philosophical Magazine Letters 91 (2011))。このナノ結晶の形成メカニズムの解明および他の系の探索が本研究の目的である。加えて半導体中のナノ結晶は、バルクとは異なるエネルギー準位を持ち、新しい発光特性を示すことが期待されるが、現在のところナノ結晶のサイズ制御はできていない。本研究では、発生するナノ結晶のサイズと電子線照射条件との関係を調べ、サイズ制御方法を検討する。さらにその発光特性について調べ、新しい光デバイス創製をめざす。前年度、電子照射するときに使用する電子顕微鏡の真空度が高い(10-5Pa程度)とナノ結晶が形成されないことが判明している。高知工科大学では高真空の電子顕微鏡しか保有しておらず、平成26年度は25年度と同様、電子照射の代わりにInSbに対してイオンビーム照射実験を行った。InSbに集束イオンビームを用い、周期的な構造を作製後(トップダウン)、イオン照射を行い(ボトムアップ)形成されるナノ構造について調べた。ナノ構造の深さ方向への成長には、イオンビームのフラックスを小さくすることが有効であることを明らかにした。
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