反強磁性体であるα-Fe2O3をドープしたSiO2-CaO-Na2O系ガラスに、フェムト秒レーザーを照射し熱処理を行った試料の光学特性、磁気特性、磁気光学特性を調べた。Feイオンのみをドープした試料では明確な磁化の増加がみられたが、光吸収スペクトルには変化がなく、大きな磁気光学効果は得られなかった。これに対して、AuイオンやAlをFeイオンと共ドープしたガラス試料におけるレーザー照射実験では、レーザー照射及び熱処理を行うことで照射領域に金属ナノ微粒子に基づく局在表面プラズモン共鳴吸収がそれぞれ異なる波長で観測された。また、室温における磁気モーメントもFeイオンのみをドープした試料とほぼ同程度増大し、その結果ファラデー回転角がプラズモン共鳴の起こる波長において増強された結果を得た。照射条件や熱処理の条件に依存して磁気光学スペクトルのピークがシフトすることから、プラズモンと磁気光学効果のカップリングが起こっていることを明らかにした。 次に、光導波路型ファラデー素子を開発するために、微小領域の透過光から高精度な偏光測定が可能なマイクロファラデー効果測定装置を設計し、その構築に取り組んだ。電磁石を制御するための定電流電源(バイポーラ電源)装置とホール素子を組み合わせ、これらの入出力をDA,AD変換ボードを介してPCに接続した。一般的に電流値が一定であれば精度よく磁場の大きさは再現されるが、大電流が流れることによる発熱等の影響があるため、高精度な磁場を発生させるために磁界フィードバックサイクルをLaboviewソフトウェア上にて構築し、±0.2%程度の高い精度で磁場の変化を制御することができる。2系統の光入力の差分値を極めて高い精度で検出することのできるオートバランスレシーバーの入力から、実効的なファラデー回転角を導出することもできるようになる。
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