研究課題
パイロリシス法によって,ミクロ細孔またはメソ細孔を有し,高表面積のカーボンナイトライド(C3N4)を合成し,その上での可視光照射による,揮発性有害物質(VOC)の分解除去,バイオマスからの水素製造および選択的な化合物合成指向の研究計画のもとに光触媒反応系を探索することを目的とした.我々は、Y型ゼオライトを鋳型としてC3N4の合成を試みたが、合成段階で構造の破壊が生じ、現状ではマイクロ孔を有するC3N4は得られていない。そこで、我々は、方針を転換し、CNとTiO2とをハイブリッド化したCN/TiO2光触媒を構築し、これらがVOCの分解除去、バイオマスからの水素製造およびニトロベンゼンからアミノベンゼンへの還元反応に高い、可視光活性を示すことを見出し、以下に示す内容を明らかにした。(1) 異なる仕込み量のシアヌル酸とTiO2との熱縮合反応によって,CN/TiO2光触媒を合成した.CN/TiO2光触媒は,CN単体に比べ高表面積を有し,TiO2の表面上に窒素種として,カルボジイミド(-N=C=N-),ニトリル(-C≡N)構造,およびtri-s-triazine環が連結したmelem/melon構造が形成されることを明らかにした.また,担持量が少ない場合は,-N=C=N-や-C≡N構造が,主にTiO2表面上に形成され,さらに担持量が多くなると,melem/melon構造の濃度が増加することが示唆された.(2) CN/TiO2光触媒を用いて,可視光の照射下,グリセリン水溶液からの水素製造について検討を行った.その結果,CN/TiO2光触媒は水素製造において,CN単体光触媒に比べ100倍以上の高い活性を示すことを見出し,CN/TiO2光触媒上に担持されたCNが水素生成反応の光活性種として働くことが明らかとなった.さらに,量子化学計算と光電気化学測定を駆使することで,光活性種の電子状態やエネルギーバンド構造に関する知見を得ることができ,これらを利用して,光触媒上での可視光照射によるグリセリン水溶液からの水素生成反応のメカニズムを明らかにした.
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