研究課題
本研究課題は強相関酸化物の有する「相競合性・多機能性」と、強誘電体の有する「不揮発性・電場制御性」を、ヘテロ接合として複合化することにより、新奇な機能開拓を目指している。昨年度研究においては強誘電体BiFeO3をゲート層およびモット絶縁体(強相関酸化物)CaMnO3をチャネル層とする電界効果トランジスタにおいて、(1)強誘電体の分極方向によってチャネル抵抗が不揮発変調すること(強誘電電界効果)、(2)抵抗変化に伴いCaMnO3においてホール濃度が変化している(静電キャリア変調)ことを見出した。これを踏まえ25年度研究においては、見いだされた強誘電電界効果の起源および動作機構を探求した。まずホール濃度変化の膜厚依存性を解析した結果、BiFeO3・CaMnO3界面において、強誘電性とは無関係に界面分極が形成され、チャネルに誘起されるキャリアは、強誘電分極との和で表されることが分かった。これは、accumlationの時は、強誘電分極と界面分極が強め合うため、CaMnO3の総キャリア濃度は大きく上昇するが、depletionの時は両者が打ち消しあうので、元来有しているキャリア濃度と同程度である(つまり、本来の意味でdepletionすることができない)ことが分かった。つぎに界面分極の役割を検証するため、強誘電体としてBaTiO3、強相関酸化物としてSrRuO3, SrMnO3, LaMnO3の超薄膜からなるヘテロ接合を形成し、その強誘電性をPFMにより評価した。その結果、界面分極が極めて小さいSrRuO3およびSrMnO3では、分極の向きが一方に固定されてしまう(つまり不揮発変調できなくなる)傾向があることが分かった。つまり、界面分極は強相関酸化物の強誘電電界効果において必須の役割を果たしていることが分かった。
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