耐酸化性・耐食性と高温強度をバランスよく1000℃以上の耐用温度を備える超高温材料の開発を目的に、新たな材料設計コンセプト(SiC繊維強化多孔質SiCマトリックス(SiC/ポーラスSiC))を考案した。本研究により、①結晶性の高くないSiC繊維の選択と反応焼結法によるマトリックス形成によって低コスト化に成功した。②マトリックス気孔率と繊維体積率の制御によってC界面を施すことなく200MPaを超える高強度化と擬延性破壊挙動を兼ね備える革新的なSiC基複合材料の開発に成功した。③C界面を施した従来SiC基複合材料と比較し、大気暴露後の800℃及び1100℃の強度・擬延性破壊挙動に顕著な劣化を引き起こさないことを実証した。④1200℃までのSiC/ポーラスSiCの酸化速度は繊維よりも主にマトリックスに含まれる助剤成分に律速されており、見かけの活性化エネルギーは約200kJ/molであった。⑤C界面を施した従来SiC基複合材料と比較し、1200℃までの耐水蒸気耐性では500℃程度と1000℃程度からの質量減少は確認出来ず、1000℃以上からのSiO2相形成に伴う微量な質量増加を確認した。他の金属系耐熱材料と比較し、SiC/ポーラスSiCは1200℃における耐水蒸気耐性が非常に優れており、同時に金属系耐熱材料では引き起こされる顕著な水素ガス発生はほぼ探知できず、水蒸気環境下での使用に関して安全性の観点からも効果的であることを実証した。
|