研究課題/領域番号 |
24760572
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
袴田 昌高 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (30462849)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ナノ材料 / 細菌 / ポーラス材料 |
研究概要 |
ナノポーラス金属上での細菌・細胞の生命活動を調べる目的で、研究環境の整備を行った。予算の支給額をもとに、病原性が低い2種の細菌(大腸菌および表皮ブドウ球菌)を研究ターゲットに定め、その抗菌性を評価することとした。 追加調査の結果、当初予定していたハロー法よりも、JIS規格が整ったフィルム密着法のほうがより細菌の生命活動にアプローチしやすいため、フィルム密着法のための試料作製法を検討した。スパッタリング装置を利用してガラス基板上にAu-Ag合金/Au積層薄膜を作製し、脱合金化(選択エッチング)によりAg原子のみを溶解除去することで、50 mm ×50 mm の大きな面積を有するナノポーラスAuを簡便に作製できた。スパッタリング薄膜でないバルクAu-Ag合金と同様に、脱合金化条件を変えることで孔径を10~50 nmの範囲制御できた。また別途、今回導入したパルスメッキ装置によっても大面積ナノポーラス金属試料の作製を試みた。 また、大腸菌および表皮ブドウ球菌株の復元・培養・冷凍保存のための環境整備・適切な培地の選定・培養のためのインキュベータの導入を行った。次に、適切な菌濃度の培養液や培養条件を検討した。 さらに、ナノポーラスAuと大腸菌との相互作用を調べる前段階として、ナノポーラスAu・Pd・Niの有機物分解特性を評価した。ナノポーラス構造を有しないAu・Pd・Ni表面では分解しない有機物(アゾ化合物)がナノポーラスAu・Pd・Ni表面で分解したことから、有機物の機能的集合体である細菌の生命活動にも金属ナノポーラス構造が大きな影響を及ぼすと示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種々の孔径を有するナノポーラス金を、フィルム密着法に適切な大きさで作製することに成功した。ナノポーラス金上の大腸菌および表皮ブドウ球菌の生命活動を、JISにあるフィルム密着法のプロトコルに従って評価する体制を確立した。生命活動についての詳細を現在鋭意調査中である。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、ナノポーラス金の大腸菌および表皮ブドウ球菌の抗菌性を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗菌性評価に必要な消耗品のほか、結果によってはナノポーラスAuにおける大腸菌の生態の電子顕微鏡観察、PCR解析によるDNA発現の調査などに使用する。
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