陽電子消滅法は、空孔や転位などの原子スケールの格子欠陥を敏感に検出することが可能な手法であるため、この手法をフェライト系耐熱鋼に適用することで、高温クリープ変形に伴う原子スケールの格子欠陥の初期挙動から耐熱鋼の余寿命予測を行うことが可能であるか検証を行った。平均陽電子寿命はクリープ試験片のねじ部ではほとんど変化しないが、平行部はクリープ時間とともに減少し、ねじ部の温度効果と平行部の温度と歪みの効果の差を明瞭に捉えた。平行部の平均陽電子寿命はクリープ変形の遷移、定常、加速領域にほぼ対応して3段階で減少することが明らかとなった。
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