研究課題/領域番号 |
24760583
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
伊東 航 仙台高等専門学校, その他部局等, 助教 (30559852)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 国際情報交換(イギリス) |
研究概要 |
本課題の最大のテーマはNiMn基メタ磁性形状記憶合金において低磁場での磁場誘起変態を発現することである。今年度は低磁場駆動と関連性の深い変態ヒステリシスに着目し、NiCoMnInおよびNiCoMn(Al,In)合金における変態ヒステリシスの組成依存性を調査した。 実験方法は、種々の組成のNiCoMnIn合金およびNiCoMnAlIn合金をアルゴン雰囲気中の高周波誘導溶解にて作製した。得られたインゴットを石英管中に真空封入し、所定の温度で溶体化熱処理を施し、氷水中に焼き入れて測定試料とした。特性評価として組織観察、マルテンサイト変態温度およびキュリー温度の決定、飽和磁化の測定、結晶構造同定を行った。 NiCoMnIn4元合金における変態ヒステリシスのCo濃度依存性を調べた結果、Co濃度が2~3.5at.%の時に最小値(8~10K)を示すことが明らかとなった。また、In濃度依存性も見られ、In濃度が低いほどヒステリシスが小さくなることも明らかになった。 一方、メタ磁性形状記憶合金で唯一延性に優れるNiCoMnAl合金の変態ヒステリシス改善の目的でNiCoMnAl合金に対するIn置換の影響を調査した。その結果、1at.%のIn置換で母相の結晶構造がB2構造からホイスラー構造へ変化することがわかった。この結果に起因して結晶粒界が弱くなり、試料全体は脆弱化した。高い延性を維持するためには母相の規則度の制御が重要であることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
合金探索から変態ヒステリシス改善を狙った研究を進める予定であったが、おおむね順調にすすんでいる。 なお、合金探索は当初から1年半かけて行うことにしており、次年度も引き続き行う。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き、低磁場誘起変態可能なメタ磁性形状記憶合金の合金探索を行う。 最適な組成が見つかった際には、加工性に着目して組織制御を行っていく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
高融点のメタ磁性形状記憶合金を溶体化熱処理するため、1200℃以上で定常使用可能な高温管状炉を購入予定である。 次年度も引き続き合金探索を行うため、消耗品として合金元素、溶解用坩堝等を購入予定である。また、磁性形状記憶合金の最新の研究動向を把握するため、日本金属学会および日本物理学会の講演大会に参加予定である。
|