実機使用した単結晶Ni基超合金の第一段高圧タービンブレードについて,各断面、各部位の(001)および(100)のコーティング層から冷却孔近傍までの詳細な組織観察を行い,ブレードに負荷される温度、応力および応力方向の推定を試みた。その結果、部位によってγ’相の形状が大きく異なり、ラフト構造の形成方向から、ブレードには回転に伴う遠心力以上に高い熱応力が負荷されていることが明らかとなった。さらにブレードに単純時効を施し,立方体状を保持していた部位のγ’相の形状変化に基づき、ブレード内部においても高い応力環境下にあることを示し、実機稼働環境の推定に金属組織学的知見が活用可能であることを明示した。
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