研究実績の概要 |
双晶界面導入によるMg合金の制振性の向上について今まで圧縮により双晶界面導入後、短時間熱処理により双晶界面の可動性が向上できる。今年度においてMgの合金化に伴い、双晶界面の収縮能力の変化の評価を行い、純Mg、AZ31およびAZ91合金を用い、Al, Znの添加により双晶形成と収縮の評価を行った。双晶界面収縮の評価は引っ張りしながら場観察可能なEBSD装置を用いた。すべての結果は下記の通りである。 1) 双晶界面導入後、短時間熱処理により双晶界面の可動性が向上できる。2)添加元素により、双晶界面の移動が困難になり、双晶の成長が抑制され、狭い双晶の形成が観察される。これらは添加元素により双晶界面において欠陥の形成が容易になることと関係していると考えられる。3) Al, Znなどの元素の添加によりMgに双晶の収縮が困難になるが、純Mgにおいて双晶サイズが大きいため、残留双晶の面積が大きい、合金添加の場合、すべての双晶が消失できる。4)双晶収縮過程において二次双晶の形成が観察された。二次双晶の量が合金元素の量およびひずみと強く依存している。これらは合金化元素及びそれらに起こされた析出物の存在により局部の応力の状態を変えたことと関係している。5) 純Mg双晶収縮の後、低角度界面の形成が少ない。一方、合金の場合、双晶収縮後、低角度界面が元双晶界面において形成される。低角度界面の割合が合金化元素の量とひずみの増加の共に、大きくなることがわかる;6)純Mgの引っ張り強度(UTS)が双晶未導入サンプルと比べて大体同じレベルになるが、合金の場合、UTSの増加が明らかに観察された。UTSの増加率が合金化元素の量に強く依存していることがわかる。これらは、双晶収縮過程における低角度界面の形成、及び底面滑りのSchmid因子の変化に起こされた加工効果と関係している。研究計画の通りに達成している。
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