研究課題
ダイヤモンドにおいて終端元素によるトライボロジー特性や高温での反応性の変化を調べることを本研究の目的とした。ダイヤモンドは良質の単結晶が得られることから、表面科学における重要な研究対象とされてきた。中でも、Landstrassらにより報告された水素終端ダイヤモンドの表面電気伝導は大きな注目を集め、化学センサとしての動作やpinダイオードからの高効率の電子放出が確認された。終端元素の改変はバルク反応を伴わないため短いプロセス時間で完了するという利点を有し、単原子層に起因する特異な表面物性と相まって、材料加工・処理や表面科学におけるテーマとなっている。このような背景の下、表面のトライボロジー特性・化学反応性を変えうる終端元素として水素、酸素に加え窒素に着目した。特に窒素原子は結合に寄与するp軌道の立体構造により、ダイヤモンド上で強い面方位依存性を持ち、表面近傍の格子ひずみを生じさせる可能性を有する。はじめに、摩擦摩耗特性に直接の影響を与える、表面近傍の格子の歪みを高精度のラマダイヤモンド表面の終端元素が機械特性に与える影響については、ほとんど研究がなされていないが、各種雰囲気におけるダイヤモンド表面の摩耗特性を議論する上でも欠かすことが出来ない情報を与える。本研究では水素および酸素、窒素終端表面をそれぞれプラズマ暴露、大気中アニールおよびイオン照射法により形成し、波数確度が極めて高い共焦点ラマン散乱測定を行うことで、表面の化学終端と格子の歪みを定量化した。酸素終端の表面近傍のみにおいて0.3 cm-1もの大きなダウンシフトが観察され、表面終端が機械特性に影響を与えうることが示唆された
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