研究課題/領域番号 |
24760593
|
研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
笠井 尚哉 横浜国立大学, 安心・安全の科学研究教育センター, 准教授 (20361868)
|
キーワード | 非破壊応力評価 / バルクハウゼンノイズ |
研究概要 |
周波数10Hz程度で位相が異なる3つの正弦波を発生可能なシステムを構築し、これにより昨年度作製した3極磁化器に位相と振幅を調節して励磁電流を印可した。その結果、3極磁化器により任意の直線磁界や回転磁界が形成できることを確認した。次に、この3極磁化器の中央に小型のコイルを配置し、バルクハウゼンノイズ測定プローブを作製した。バルクハウゼンノイズ測定に関しては、測定時に雑音が混入することが避けられないために、測定システムにノイズ除去フィルターを組み込んだ。これにより、3極磁化器による回転磁界でもバルクハウゼンノイズの測定が可能であることを明らかにした。さらに、SPCC、SS400の素材板の圧延方向を試験片の長手方向と一致させたドックボーン状の板状引っ張り試験片を作製し、As received試験片、転位密度の減少を狙った熱処理を施した試験片、結晶粒の成長や組織の変化を狙った熱処理を施した試験片を用意した。これらの試験片の応力負荷時の磁歪の測定を行い、応力、バルクハウゼンノイズ及び磁歪の相関関係を測定・確認した。磁壁移動の観察に関しては、ビッター法で磁界と応力を負荷しながら、SPCC、SS400の試験片の磁区構造の変化を捉えた。さらに、磁気光学効果を使用して、応力を負荷した際の磁壁移動の挙動をリアルタイムで観察するために、現有の偏光顕微鏡に組み込むことができる光学部品を設計・製作し、磁壁移動のその場観察を試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度作製した3極磁化器に位相と振幅を制御した励磁電流を流し、回転磁界を形成させるとともに、バルクハウゼンノイズ測定システムを構築した。また、、バルクハウゼンノイズを用いた応力評価精度の向上のために、まず、ビッター法で磁界と応力を負荷しながら、SPCC、SS400の試験片の磁区構造の変化を捉えた。さらに、磁気光学効果を使用して、応力を負荷した際の磁壁移動の挙動をリアルタイムで観察するために、現有の偏光顕微鏡に組み込むことができる光学部品を設計・製作し、磁壁移動のその場観察を試みた。 以上より、本研究は概ね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
磁気光学効果を使用した、磁壁移動のその場観察装置の改良を試みるとともに、磁壁の移動や回転挙動に依存する、B-H カーブと磁気AEを測定する。得られた結果を総合的に考察し、応力評価システムの高度化を図る。
|