研究課題/領域番号 |
24760599
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小椋 智 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90505984)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 接合・溶接 / 異種金属接合 |
研究概要 |
本研究では,摩擦プロセスと微小領域強度試験法を併用した,酸化皮膜を有する異種金属接合の新しい界面構造制御法を確立するを目的としている.そのためには,摩擦接合過程における継手強度に著しく影響を及ぼす界面反応層の形成・成長挙動の解明すると共に,その局所的な継手特性評価と変形破壊挙動を解明し,接合部全体において界面強度が母材強度を上回る高信頼性異材金属接合プロセスを構築し,酸化皮膜を有する異種金属接合における摩擦プロセスによる統一した界面制御手法を提案することが必要である.そのため,平成24年度では, (1)微小領域強度試験法による界面微小領域における継手特性評価と変形破壊挙動の解明 (2)摩擦接合過程における界面反応層の形成・成長挙動の解明とその物性値評価 を行い,(1),(2)ともに,手法の確立を図った.また,アルミニウム/鋼摩擦攪拌接合材を用いて,母材破断を有する接合材の界面構造の指針を得て,さらに母材破断を維持しながら熱処理により母材を高強度化する基礎的な知見を得た.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では3年間の研究期間で以下に示す研究内容を実施することを目標としている. (1)微小領域強度試験法による界面微小領域における継手特性評価と変形破壊挙動の解明 (2)摩擦接合過程における界面反応層の形成・成長挙動の解明とその物性値評価 (3)界面強度が母材強度を上回る界面構造制御法を提示ならびに酸化皮膜を有する異種金属接合の統一的な界面組織制御手法の提案 本研究は摩擦プロセスと微小領域強度試験法の併用によって初めて得られる自然酸化皮膜を有する異種金属接合の界面構造制御法の確立であるため,まずその手法を確立することが求められる.そのため,24年度でその手法の確立が達成できたことは,当初の計画通りであると考えられる.また,アルミニウム/鋼摩擦攪拌接合材を用いて,母材破断を有する接合材の界面構造の指針を得て,さらに母材破断を維持しながら熱処理により母材を高強度化する基礎的な知見を得たことは,25年度以降の研究に大きく展開できるものと考えられる.
|
今後の研究の推進方策 |
24年度の研究成果を踏まえて,25年度では引き続き下記の研究を行う. (1)微小領域強度試験法による界面微小領域における継手特性評価と変形破壊挙動の解明 (2)摩擦接合過程における界面反応層の形成・成長挙動の解明とその物性値評価 (1)に関しては,摩擦接合材の種々の箇所より試験片を切り出し,①微小領域での継手特性評価とその場観察による変形挙動の動的解析,②破壊因子ならびに亀裂の発生源の特定および変形破壊に及ぼす界面ナノ構造の影響の解明を行い,継手の局部的な領域における継手特性および界面構造とその集合的な機械的特性の関係を明らかにし,組織制御への指針を図る.また(2)に関しては,摩擦過程における①接合界面における原子の拡散挙動と界面反応層形成・成長挙動の解明,②個々の界面ナノ組織が有する強度・剛性率評価を行い,界面ナノ構造とその物理的性質を明確化する.
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なった.これは当初予定していた微小領域強度試験その場観察用マイクロスコープをとりやめたため,24年度の研究費に未使用額が生じたためであり,25年度にその場観察用画像解析装置を購入し,接合界面微小領域部の変形挙動を詳細に解析する.
|