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2012 年度 実施状況報告書

プロトン伝導性酸化物のナノ結晶相安定化機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24760604
研究機関富山高等専門学校

研究代表者

尾山 由紀子  富山高等専門学校, 物質化学工学科, 准教授 (00345373)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワードプロトン伝導体 / ナノ結晶
研究概要

プロトン伝導性酸化物で期待の高いYをドープしたBaZrO3について,1600℃での長時間の熱処理後も安定に存在するナノ結晶相に注目して,この相を利用したプロトン伝導性の向上の可能性を検討した.
今年度はナノ結晶相の生成過程の解明を目的として,ナノ結晶相の生成過程に影響を及ぼすと考えられる液相からの凝固過程に注目した.1600℃での焼結温度での保持持,液相の存在が示唆される1300℃までの間の冷却過程がナノ結晶相の生成に重要な影響を与えるとし,1600℃から800℃までの冷却時間を変化させた試料を合成することとした.試料はYドープのBaZrO3単相の組成のほか,液相との共存が示唆される組成について,いずれも固相反応法で合成した.今年度は試料合成,基本的な組織観察(粉末XRD,SEM, EDX, TEMによる観察)のほか,ICP-MSによる試料合成各過程での平均組成の測定,伝導度測定の体制を整えることができた.また顕微ラマン分光法による微細構造の測定も実施した.なお,固相反応法において,重要となる粉末原料の微細粒子への粉砕及び均一混合を目的として,遊星型ボールミルによる混合を実施し,組成,粒径の評価を行い,ポット,ボールなどからの混合操作に伴う不純物混入量についても評価した.
今年度の主な結果として,1600℃から800℃までの冷却時間を1.5hと6hとした場合の比較により,BaZrO3単相領域の組成で合成した試料では,組成の変化は焼成前後でICP-MS, EDSのいずれにおいても大きな変化は認められなかった.しかしながら,ラマン分光測定の結果により,冷却速度を遅くすることで,BaZrO3へのYの固溶量の減少が示唆された.また,電気伝導度は冷却速度が遅いほうが低くなることが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ナノ結晶相形成に重要な液相からの凝固相に注目した検討を進め,冷却速度による違いによる特性評価が行える体制をほぼ確立したが,ナノ結晶の生成条件を明らかにするまでには至らなかった.また,試料合成,分析方法等基本的な研究体制が整えられるのに時間がかかったことと,熱処理を行う装置の利用条件の制約等から,試料の合成が十分に実施できなかった.今後は体制の見直しを行い,対応していく.

今後の研究の推進方策

今年度の実施が不十分であった試料の合成に平成25年度9月までをめどに集中的に取り組む.外部施設などを積極的に活用することで対応する予定である.並行して9月までに種々の特性評価の体制を整え,順次測定を実施する.10月~12月は伝導特性の評価を中心に行い,平行して進める微細組織との対応を明らかにする.熱処理後の組織変化は7月頃からナノ結晶相の評価と並行して進める.1月~2月で平成25年度の結果を取りまとめ,3月に研究期間全体の取りまとめを行う.

次年度の研究費の使用計画

試料合成を行うための熱処理を行う装置の制約から十分な数のサンプル合成に至らなかったことが主な原因となり,未使用額が発生している.次年度は,試料合成の所属機関外の装置の利用を積極的に進めるための費用として設備等の利用料金や旅費を支出することとする.冷却条件および組成を増加させ,凝固過程の影響を明らかにする.微細構造,伝導特性を総合的に判断することとする.またナノ結晶相の存在箇所を特定することを検討する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Crystal Chemistory of Heavily Y- doped BaZrO3 with orderd superlattice structur2012

    • 著者名/発表者名
      Y. Oyama, T. Tsurui, T. Tsuchiya, and S. Yamaguchi
    • 学会等名
      The 16th International conference on Solid State Proton Conductor
    • 発表場所
      Grenoble, France
    • 年月日
      20120910-20120914

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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