プロトン伝導性酸化物で期待の高いYをドープしたBaZrO3について,1600℃での長時間の熱処理後も安定に存在するナノ結晶相に注目し,この相を利用したプロトン伝導性の向上の可能性に向けて,ナノ結晶相の生成過程の解明を目指した.ナノ結晶相が液相からの凝固組織であることを様々な組成の試料合成から確認し,また1600℃から800℃までの冷却時間を変化させた試料を固相反応法で合成した.冷却時間によって液相からのBaOの揮発による組成変動とドーパントの固溶量変化が見られた.液相との共存が予想されない組成であっても局所的な濃度の不均一さから生じる液相の影響を受けることが示唆された.
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