研究課題/領域番号 |
24760615
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
安田 幸司 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教 (20533665)
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キーワード | シリコン / 還元 / カルシウム / マグネシウム / 水素化物 / 酸化物 |
研究概要 |
本研究では、シリコン酸化物からのシリコン生成反応時に、精製効果を同時に得ることができるプロセスを構築することを目的とした研究を行った。当該年度においては、マグネシウムハイドライド(MgH2)を還元剤に用いた実験と、精製効果の解析法の構築を行った。 (1)金属ハイドライドによるシリカの還元工程 MgH2とSiO2の混合粉末をペレット化し、高温で反応を行った。示差熱熱重量同時測定(DTA/TG)の結果により、反応が550℃付近より開始することを見出した。熱力学計算の結果から、還元反応の反応熱により生成物を融解させることが、理論的に可能であることを見出した。前年に行ったカルシウムハイドライド(CaH2)を用いた還元では収率が10パーセント以下であったが、マグネシウムハイドライドを用いると60パーセント近い高い収率が得られた。熱バランスを計算した結果、ハイドライドを還元剤に直接用いるよりも、事前に熱分解をすることで製造したアルカリ土類金属を還元剤に用いる方が、融解シリコンを生成して精製効果を得るのに適していることが明らかとなった。 (2)精製効果の解析 還元試験で得られたサンプルを2段階で酸浸出し、誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)による不純物分析を生成シリコンと浸出液に対して行うことで、還元時にどの相へ不純物が移行しているかを定量的に解析する手法を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請時に3年間で行う予定であった研究内容は、この2年でほぼ完了しており、順調に進展している。 カルシウムハイドライド(CaH2)とマグネシウムハイドライド(MgH2)を還元剤に用い、目的である融解状態のシリコンを得ることが一部でできている。収率などの解析も順調に進んでいる。 加えて、当初の計画にはなかった、ハイドライドを還元剤に直接用いるよりも、事前に熱分解をすることで製造したアルカリ土類金属を還元剤に用いる方が、融解シリコンを生成して精製効果を得るのに適していることが新たに明らかとなった。最終年度には、還元反応の温度解析や、効率的に融解シリコンを得る手法の開発など、当初の計画をこえた内容の研究を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後においては、ハイドライドを事前に熱分解をすることで製造したアルカリ土類金属を還元剤に用いて、SiO2の還元反応を行う。また、比較として、市販のアルカリ土類金属を還元剤に用いた反応を行う。得られたシリコンの融解状態や収率を比較することで、融解シリコンを生成することによる精製効果を比較する。精製効果については、本年度に確立したICP-AESによる解析方法を用いる。 加えて、放射温度計と熱電対を用いることで、SiO2の還元反応における温度挙動の解析を行い、反応メカニズムの検討を行う。効率的に融解シリコンを得る手法として大型の装置を作製し、同装置を用いた実験を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に、大型装置の作製を予定しているため。 反応容器となるグラファイトるつぼの大型のものを製作する。
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