研究課題/領域番号 |
24760628
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
辻口 拓也 金沢大学, 機械工学系, 助教 (10510894)
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キーワード | 燃料電池 / 直接ギ酸形燃料電池 / 物質移動 / 触媒担体 / 出力低下 |
研究概要 |
本研究では直接ギ酸型燃料電池(DFAFC)の経時的な出力低下を抑制して、Liイオン電池の代替となり得る次世代高性能電池の開発に取り組んでいる。DFAFCは直接燃料電池の中でも比較的高い出力密度が得られるが、時間の経過に伴い、出力が大幅に低下する。この問題は、空気極における水の蓄積による酸素供給阻害と燃料極の触媒被毒に起因するものであり、平成24年度には新規電極構造体により出力低下を80%から10%まで低減することに成功した。 本年度はもうひとつの出力低下因子である触媒被毒の抑制に向けて、新規燃料極触媒担体の開発に取り組んだ。触媒担体として、カーボンナノファイバーにTiO2, SiO2, カーボンブラックを埋没させたものを、静電紡糸法により作製した。この担体にPdを担持し触媒活性と活性維持率を比較したところ、いずれの触媒においても従来触媒(Pd-blackやPd/C)と比較して、触媒活性、維持率ともに大幅に向上することがわかった。特に、カーボンブラックを埋没させたCNFにおいてこの傾向は顕著であり、触媒活性で従来比2倍程度、活性維持率は従来比3倍以上に向上した。この活性向上・被独抑制メカニズムについて現状では明らかにできていないが、担体作製時に行った水蒸気賦活によって生成した微小細孔の容積との相関があると推察している。これらをふまえ次年度以降は、作製した触媒を用いたセル作製また、更なる触媒活性・活性維持率の向上にむけて検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は3年でDFAFCの燃料極・空気極の出力低下を抑制するものであり、平成24年度に空気極出力低下の抑制に成功し、平成25年度で予定通り触媒被毒の抑制が可能な新規触媒の開発に成功した。当初は申請者が研究機関を移動したことから研究の遅延が予想されたものの、研究は予定通り順調に進展した。本年度は、これまでの結果をふまえセルを用いて出力低下を抑制したDFAFCを作製する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は前年度までの知見を集約し、出力低下を抑制した単セルの開発を行う。単セルの作製において、ファイバー系触媒を用いた触媒層の作成方法を最適化する必要がある。また、それにともない触媒組成比等も調整する必要があるため、前年度の検討で最も高い効果が得られたカーボンブラック埋没カーボンナノファイバー触媒の評価も並行して進める予定である。
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