研究概要 |
Mo3VOx触媒に有効であったユニット合成手法を,4,5,6族の元素に適用した.対象とする元素は,Mo,W,V,Nb,Ta,Ti,Zrとし,水熱条件下における複合酸化物の合成を行った. ユニット合成法の知見を基に,まず前駆体材料にMo-V-O合成に有効であったアンモニウムヘプタモリブデート((NH4)6Mo7O24・4H2O)を参考にアンモニウムメタタングステート( (NH4)6(H2W12O40)・nH2O)などのポリ酸とVOSO4,NH4(NbO(C2O4)),Ta2O5などの酸化物の組合せを検討した.これら前駆体の濃度比の適切化や水熱条件の適切化等の合成条件を変化させることにより結晶化の向上を試みた.その結果,W-Nb,W-Ta,W-Ti,W-Zr,Mo-Nbにおいて共通の22°および46°にX線回折ピークを与える複合酸化物が得られた.この回折ピークは調製した酸化物が積層構造を有することを意味している.さらに,Ta前駆体としてTa lindqvistを用いると,W/Ta比が広い範囲で積層構造を有する複合酸化物が得られた.合成した複合酸化物を,Raman分光法および吸着実験,TPDにより解析を行ったところ,これらはMO6(M=W,Ta)のアセンブリから形成される,これまでに報告のない複合酸化物を形成していることが示唆された. 得られた複合酸化物を,ピリジン吸着を利用した赤外分光法や,アンモニアTPDにより酸性質を評価し,さらにアルキル化,アルコールの脱水反応を利用した酸触媒反応によって固体酸触媒活性を評価した.その結果,W-Nb,W-Ta,W-Tiの組み合わせによる複合酸化物が強いブレンステッド酸性を有し高い固体酸活性を示すことが分かった.
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