• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

温和な条件でアンモニア分解により水素を製造するためのバイメタル触媒の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24760641
研究機関大分大学

研究代表者

永岡 勝俊  大分大学, 工学部, 准教授 (90381029)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード水素キャリア / アンモニア分解 / 水素製造
研究概要

環境問題、エネルギー問題の解決に向けて化石資源に依存しない社会の実現が切望されている。このような状況の下、アンモニアをエネルギー媒体とした高度エネルギー貯蔵・変換プロセスが提唱されている。このプロセスでは、太陽エネルギーや風力などの再生可能エネルギーを利用することで、水から水素を製造する。しかし、我が国など日照量や風量が少ない国の場合、これらの多い地域で水素を製造し、これを何らかの形で国内の消費地まで貯蔵・運搬することが求められる。そのための手段として水素ガスボンベ、水素吸蔵合金、有機ハイドライド、そしてアンモニアが想定されているが、この中でアンモニアは水素含有密度が最大であり、合成・分解の際の副生成物も窒素のみであり、水素媒体として最も有望であると言える。そのため本研究では、温和な条件でアンモニアを分解し、水素を製造可能な触媒の開発について検討している。
本年度は先ず、Ru/CeO2への強塩基性酸化物であるCs2Oの添加効果について検討した。その結果、Cs/Ru=1のCs2Oを添加したときに、350℃でのアンモニア転化率が1.25倍まで向上することを見出した。これは強塩基性のCs2OからRuへの電子供与によるものであると推察した。一方、塩基性の層状化合物であるハイドロタルサイトを担体の前駆体として用い、これを700℃で焼成することでMg-Al複合酸化物担体を調製し、ここにRuを担持した。この触媒は150m2/g以上という高比表面積を有し、Ruが高分散し、アンモニア分解に比較的高活性を示すことが分かった。そこで、さらにCs2Oの添加効果について検討したところ、添加量を最適化すると、350℃でのアンモニア転化率が約90%まで向上することを見出した。この触媒の活性はCs2O/Ru/CeO2を凌駕し、非希土類からなる非常に高活性な触媒を開発できたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

塩基性の層状化合物であるハイドロタルサイト[Mg1-xAlx(OH)2]x+(An-x/n)を前駆体とし、これを700℃で焼成することでMg-Al複合酸化物担体を調製した。ここにRuを担持し、Cs2Oの添加効果について検討したところ、350℃でのアンモニア転化率が90%まで向上することを見出した。この触媒の活性はCs2O/Ru/CeO2を凌駕し、非希土類からなる高活性触媒を開発できた。このように計画通りに研究を進め、高活性触媒の開発に成功し、さらに省貴金属触媒につながる触媒の設計指針を得たため、おおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

24年度の検討で、ハイドロタルサイト前駆体から調製した担体がより有望な触媒担体であることが分かったため、本年度はこの担体に絞り込み、省貴金属化を図る。O2の吸着熱という観点からは、吸着熱の大きなNi(-220kJ mol-1)、Fe(-410 kJ mol-1)をRu(-210kJ mol-1)に添加すると、これら全ての元素の吸着熱が、アンモニア分解に有利な方向に変化する。そのため、ここではRu-Ni,あるいはRu-Fe合金触媒を調製し、反応に供する。

次年度の研究費の使用計画

前年度予定していた物品費は全て使用した。一方、人件費については、他の予算で充当したため、900,000円の残額が生じた。また、旅費についてても情報収集で、多少使用したのみで、512,160円の残額が生じた。これらの残額は本年度に当初予定の品目で使用する予定である。
これらとは別に本年度は物品費として300,000円、国内学会、情報収集用の旅費として400,000円、研究支援員の人件費として400,000円を計上し、予定通り使用する計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013

すべて 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ハイドロタルサイトを前駆体とした担持Ni触媒によるアンモニア分解反応2013

    • 著者名/発表者名
      安部成彦・川越貴史・本多恭子・佐藤勝俊 ・永岡勝俊
    • 学会等名
      第112回触媒討論会
    • 発表場所
      秋田大学手形キャンパス
    • 年月日
      20130918-20130920
  • [学会発表] Development of supported Ru catalyst for hydrogen production by ammonia decomposition2013

    • 著者名/発表者名
      Naruhiko Abe, Shinichiro Miyahara, Kyoko Honda, Katsutoshi Sato,Katsutoshi Nagaoka
    • 学会等名
      The 14th Japan-Korea Symposium on Catalysis
    • 発表場所
      愛知産業労働センター
    • 年月日
      20130701-20130703
  • [学会発表] 触媒の自己発熱を利用した水素製造反応のコールドスタートプロセスの構築2013

    • 著者名/発表者名
      永岡 勝俊
    • 学会等名
      平成25年度触媒学会西日本支部触媒技術セミナー
    • 発表場所
      徳島大学工学部
    • 年月日
      20130607-20130607
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi