研究課題/領域番号 |
24760646
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
田中 祐圭 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60533958)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 磁性細菌 / 磁気計測 / バイオセンサ / 重金属 |
研究概要 |
磁性細菌の磁気微粒子合成能を利用した、磁気計測に基づく環境モニタリング技術の開発に関する研究を推進している。平成24年度は、様々な(重)金属イオン存在下での磁性細菌の磁気微粒子合成能について評価した。また(重)金属イオン存在下で培養した磁性細菌から得られた磁気微粒子の磁気特性を解析した。具体的にはマンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛イオンそれぞれが存在する条件で磁性細菌Magnetospirillum magneticum AMB-1の培養を行い、MIC(最小発育阻止濃度)、さらに磁気微粒子合成可能な最大濃度を特定した。これらの情報を基に重金属の磁気微粒子へのドーピングについて、透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法により確認し、合成される磁気微粒子の磁気特性を試料振動型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer)により評価した。以上の結果から、これまでに報告されている例に比べてはるかに高い濃度のマンガン、銅、ニッケルの磁気微粒子へのドーピングに成功した。さらにこれらのドーピングに伴い、磁気特性に明確な差異が観察されることが明らかとなった。以上より今年度の主な目標としていた様々なイオンによる磁性細菌の生育、磁気微粒子合成、磁気特性に与える影響の体系的な理解を得ることに成功している。これにより磁性細菌に対する異なる(重)金属イオンそれぞれからの特有な影響が確認されたことから、次年度はこれらの変化を基に標的となる(重)金属イオンを高選択的に検出できるバイオセンサの創出を目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の目標であった、様々なイオンによる磁性細菌の生育、磁気微粒子合成、磁気特性に与える影響の体系的な理解が得られた。また当初の研究計画では予見できなかった濃度の(重)金属イオンの磁気微粒子へのドーピングが確認され、得られた磁気微粒子のさらに詳細な物性評価が期待される非常に興味深い成果が得られている。平成24年度に得られた基礎情報をもとに平成25年度は磁気計測に基づくバイオセンサ開発を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度中に、様々なイオンに対する磁性細菌の応答に関して、体系的な理解が得られたので、本情報を基に標的(重)金属イオンを高選択的に検出できるバイオセンサの実証実験を進める。一方で当初の研究計画では予想できなかった磁気微粒子の獲得に成功しており、得られた磁気微粒子の物性評価を更に進めることで、磁気センサ開発の一助とする。平成25年度内に磁気センサのプロトタイプを作成するため、磁気特性に大きな変化がすでに確認されている重金属イオンの存在下で、計測条件の設定を優先的に進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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