研究課題/領域番号 |
24760649
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
熊田 陽一 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教 (70452373)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 単鎖抗体 / マイクロアレイ / 固定化 / イムノアッセイ |
研究概要 |
本年度は、材料親和性ペプチド融合GSTならびに単鎖抗体の各種基板表面(PS, PC, PMMA)への吸着挙動解析について詳細に検討した。それぞれのペプチドタグ融合タンパク質を組み換え大腸菌を用いて生産した。その内、タグ付きGSTはすべて可用性画分に発現され、GSH固定化アフィニティクロマトグラフィによって精製できた。一方、タグ付き単鎖抗体はいずれも不溶性画分に回収されたため、尿素共存下でアフィニティ精製し、その後、リフォールディングによって立体構造ならびに抗原結合活性を回復させた。 水晶振動子マイクロバランスセンサのセンサチップ上に上述のプラスチック薄膜を作成し、タグ付きGSTの各プラスチック基板表面への吸着挙動をモニタリングしたところ、それぞれの基板にタグ付きGSTのきわめて速い吸着現象を観測することに成功した。ペプチドタグを導入していないGSTと比較して短時間で高密度な固定化が可能であることが明らかとなった。また、プラズマ照射によって表面を酸化したプラスチック薄膜に対しては、PS-tagならびにPMMA-tag融合GSTのその優位性が観測された。 また、タグ付き単鎖抗体をリフォールディングする際、PS-tag融合単鎖抗体のリフォールディング効率が極めて悪く、ほとんど回収できないのに対し、PMMA-tag融合単鎖抗体は弱アルカリ性条件においてきわめて回収率が高くなることが明らかとなった。これらの成果をもとに単鎖抗体のリフォールディングを補助する新しいペプチドタグの開発を行った。次年度はプラスチック基板上におけるタグ付き単鎖抗体の固低下密度と固定化体積の関係を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であったタグ付きタンパク質の効率的な生産技術を確立し、これらの生産コストを大幅に削減することに成功している。また、タグ付きGSTならびに単鎖抗体が特定の基板表面を高度に認識するという結果が確認され、これらを利用したプロテインチップの開発が大いに期待できるため。
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今後の研究の推進方策 |
PSおよびPMMA平板プレートをもちいて単鎖抗体の固定化濃度、固低下密度、残存活性の関係を明らかにする。また、削りだしによってPMMA製マイクロプレートを作成し、固定化体積ならびに接触面積を拡大した際の単鎖抗体の固定化状態をマイクロアレイの状態と比較する。面積/体積比や固定化時のイオン強度、pH等を網羅的に変化させ、タグ付き単鎖抗体のマイクロアレイ基板表面への吸着挙動と活性発現について網羅的に解析することで汎用的な固定化技術としたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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