研究概要 |
本研究では、自然免疫において重要な役割を果たしているヒト由来トール様受容体9 (Toll like receptor-9 : TLR9)の非メチル化一本鎖DNA(CpG ODN)認識部位を同定することを目標としている。平成24年度は研究実施計画に従い、「ヒトTLR9のホモロジーモデリングとLRRドメインC末端のCpG ODN結合部位の同定」を行った。 TLRはI型膜たんぱく質であり、細胞外にあるリガンド結合領域であるロイシンリッチ(LRR)ドメイン、Toll/IL-1 receptor(TIR)と呼ばれる細胞内テールを持つドメイン、膜結合ドメインから構成されている。TLR9は発現量が低く、疎水性が高いこと、また蛋白質として不安定であり溶液中で容易に分解されることから、結晶を得ることが困難であり、立体構造解析は解析には至っていない。本研究では、TLRファミリー間では2次構造の相同性が高いことを利用して、既に立体構造が報告されているTLR1/2/3/4からホモロジーモデリングによりヒトTLR9の立体構造予測を行った。その結果をもとに、CpG ODN結合部位として予測されたアミノ酸をアラニンに置換した変異体を作成し、TLR9変異体の機能をTLR9野生体との比較を行ったところ、H505, Q510, H530, Y554をアラニンに置換したTLR9変異体は機能を失ったことを見出した。立体構造予測よりH505, H530, Y554はLRRドメインにおいてプラスにチャージしたクラスターを形成しており、この部位にマイナスにチャージしたDNAが結合することが示唆された。本研究成果はBiochemical and Biophysical Research Communications (volume 430, p1234-9, 2013年)に発表した。
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