研究課題/領域番号 |
24760656
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
小林 功 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 主任研究員 (70425552)
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キーワード | 固体脂マイクロカプセル / 非球形 / マイクロチャネルアレイ / 二相マイクロ液滴 |
研究概要 |
まず、非球形固体脂マイクロカプセルの基材となる非球形油中水滴(W/O)マイクロ液滴の作製を行った。この時、固体脂として高融点脂質であるトリパルミチンを用いた。単結晶シリコン製マイクロチャネル(MC)アレイチップは、温度制御が可能なモジュールの中に設置された。非球形W/Oマイクロ液滴の作製に用いたサブミクロンW/Oエマルションは、80℃での高圧乳化により作製した。65℃に加温した親水性MCアレイを介して分散相(サブミクロンW/Oエマルション)を連続相中に圧入したところ、サイズが均一なW/Oマイクロ液滴(内水相体積分率20 vol%)を作製することができた。この時作製されたW/Oマイクロ液滴のサイズは、直径と厚みがそれぞれ約20μmと8μmであり、円盤状であることが示された。円盤状W/Oマイクロ液滴をMCアレイチップ上で冷却した結果、円盤状W/Oマイクロ液滴内部のトリパルミチンが結晶化して扁平状の単分散固体脂マイクロカプセルを得ることができた。ちなみに、円盤状W/Oマイクロ液滴のカプセル化に伴うサイズの変化はほとんど認められなかったが、マイクロカプセルの曲面部に多少の凹凸が見られた。作製された単分散固体脂マイクロカプセルをMCアレイチップ上で観察したところ、サイズと形態の経時変化は見られなかった。また、加温したMCアレイチップを用いることにより、脂溶性機能性成分であるβ-カロテンやβ-シトステロールがトリパルミチンに内包されている単分散扁平状固体脂マイクロ粒子を作製することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、非球形固体脂マイクロカプセルの基材となる非球形W/Oマイクロ液滴の連続作製に成功し、主な研究目的である非球形固体脂マイクロカプセルの連続作製に必要な基礎的知見を得ることができた。また、本年度は、高融点脂質を用いた円盤状W/Oマイクロ液滴の連続作製および扁平状固体脂マイクロカプセル作製に成功し、研究目的の一つである非球形固体脂マイクロカプセルの作製を達成した。このように、申請者は本年度の研究で期待される成果をおおむね達成した。以上より、現在までの達成度に関して選択した自己評価((2)おおむね順調に進展している)が妥当であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
初年度および本年度の研究はおおむね順調に進展したので、最終年度である次年度の研究は当初の計画通り実施する予定である。具体的にはまず、マイクロチャネル(MC)アレイチップを用いた棒状の単分散固体脂マイクロカプセルの作製を実施する。その後、単分散非球形固体脂マイクロカプセルの連続作製・回収を行えるようにする。また、食品機能性成分を内包した非球形単分散固体脂マイクロカプセルの作製についても検討を進める。棒状の固体脂マイクロカプセルが作製された時点において、サイズ、形状、表面形態などについて評価を行い、棒状の固体脂マイクロカプセルの基本的性質を把握する。また、棒状の固体脂マイクロカプセルの保存安定性についても評価を行う。 なお、研究を遂行する上で対応が必要な課題はない。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額92,176円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である。 本研究課題の推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画どおり使用する。また、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のために使用する。
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