研究課題/領域番号 |
24760662
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
武市 昇 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90371153)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 航空宇宙工学 / テザーシステム / デブリ除去システム / テザー伸展装置 / 信頼性 |
研究概要 |
初年度は、等速伸展時のテザーシステムの挙動の数値解析、放出方式による伸展時のテザーシステムの数値解析、等速伸展機構の概念設計、および等速伸展機構の開発を行った。 テザーをばねで接続された質点としてモデル化し、さらに伸展抵抗を考慮した数値解析モデルを構築し、それに対して等速伸展および放出方式のそれぞれを適用した際のテザーシステムの伸展時の挙動を解析した。伸展抵抗は極めて微小であるため地上試験で正確に計測することは事実上不可能であり、さらに個体差のばらつきが大きく再現性に乏しく、設計により実現できるパラメータでは無い。そのためテザーを確実に伸展するためにはその不確実性の影響を受けない伸展方式が不可欠である。これまでに多くの伸展実験で行われた放出方式では、伸展抵抗が予測より大きく伸展が途中で止まってしまったり、逆に予測より小さかったためテザーの全長が伸展された時点でも大きな相対速度が残ったままであったため伸展完了後に子衛星が跳ね返るなどの不具合が確認されている。本研究においても、伸展抵抗のばらつきを考慮した放出方式の数値解析を行い、伸展の度にその挙動が大きく異なることを確認した。つまり、放出方式では伸展挙動を予測することが不可能であるということであり、伸展の信頼性を保証することが出来ない伸展方式であるということである。一方、等速伸展の場合、伸展抵抗より大きな力でテザーを引き出して放出するような機構を用いるため伸展抵抗を無視することができる。数値解析の結果、仮に放出初速度にばらつきがあった場合であっても、伸展抵抗のばらつきを無視できるため伸展時の挙動が毎回ほぼ同一となることを明らかにした。したがって、等速伸展では放出時の挙動の予測が可能であり、高い信頼性を保証することができる。 また、このような伸展を可能とする等速伸展装置の概念設計および試作開発を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた以下の項目の研究および開発を遂行したため、順調に進展しているものと判断した。 ・テザーの伸展挙動を数値解析により明らかにした ・等速伸展を実現するための装置の概念設計及び試作開発を行った。
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今後の研究の推進方策 |
テザー伸展試験装置に対して擾乱が入力した際の挙動を計測し、それを数値解析に反映して問題点を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
・テザー伸展試験装置の改良 伸展挙動の計測装置を中心に若干の改良を加える。 ・研究調査のための講演会参加費および旅費 ・研究成果の発表(国内・国外)のための講演会参加費および旅費 ・数値計算ソフトウェアの保守費
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