研究概要 |
本研究は, 宇宙用構造材料と構造様式の両面から従来の構造システムを革新することを目指している. H25年度は, 前年度に引き続き形状記憶ポリマ部材に予め与えた変形を宇宙空間で再加熱する方法を検討した. 具体的には, 主に宇宙膜構造物への応用を目的とした形状記憶ポリマフィルムの加熱を, カーボンナノチューブを含む塗料状ヒーターを用いて行うことを見出し, その基本的な可能性を基礎実験から調べた. その結果, 塗料状ヒーターによる形状記憶ポリマ表面から一様に近い加熱が可能であることが, サーモグラフィーによる温度分布計測により確認された. また, 加熱対象の形状記憶ポリマ部材が薄膜の場合, 薄膜とヒーター層の厚みが同程度となるため, ヒーター層の剛性が形状回復を阻害する可能性が実験的に見られた. さらに, ヒーター自体に損傷を与えずに, 形状記憶ポリマと同程度の変形を与えることが課題であることも明らかになり, 形状記憶ポリマとヒーターの複合体への変形付与の方法を改善する必要性が示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
形状記憶ポリマの宇宙空間における加熱方法は, 実用上極めて重要であるため, 今年度優先的に検討を進めたため, 形状記憶ポリマ部材を用いた新たな構造様式に関する検討が十分に行えなかったが, いくつかの課題はあるものの, 宇宙空間における加熱用ヒーターとして利用できる可能性が明らかになったため, 研究計画全体の進展としては順調であるため.
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