研究課題/領域番号 |
24760665
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 日本文理大学 |
研究代表者 |
永井 弘人 日本文理大学, 工学部, 准教授 (50510674)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 羽ばたき翼 / 翼断面形状 / 空力特性 / 最適設計 / 低レイノルズ数 / 非定常流れ |
研究概要 |
昆虫サイズの低レイノルズ数領域における羽ばたき翼の断面形状が空力特性に与える効果については、これまで明らかにされておらず、一般的に平板翼が用いられてきたが、実際の昆虫の断面形状は平板ではなく波型の断面形状をしており、効率の高い翼断面形状が存在していると考えられる。本研究は、昆虫サイズの低レイノルズ数羽ばたき翼における断面形状について、従来の平板断面よりも高揚力・高効率となる断面形状の可能性を実験的・数値的研究により調べることを目的とする。研究の構成として、最初に2次元翼の断面形状について実験的・数値的に研究を行い、その結果を踏まえて3次元翼の断面形状について実験的・数値的に研究を行う。研究手法として、波型断面形状を有する羽ばたき翼の数値流体シミュレーション、およびその実証として水中模型実験による流体力の計測および流れの可視化を行う。 当初計画では、24年度(1年目)は波型断面形状を考慮した「2次元羽ばたき翼の数値流体シミュレーションコードの開発」、および「2次元羽ばたき翼の水中模型実験装置の設計開発」を行う計画であったが、数値流体シミュレーションコードの開発については、計画を前倒しして2次元および3次元翼の数値流体シミュレーションコードの開発を同時に行った。一方、模型実験装置の設計開発については、後述の理由により次年度に延期した。24年度に開発した2次元および3次元羽ばたき翼の数値流体シミュレーションコードでは、従来では対応できなかった振幅の大きな波板断面形状や、大きな羽ばたき捻り運動(フェザリング運動)にも対応できるようコードの改造を行った。ここで開発されたコードは、羽ばたき翼の水中模型実験の設計データを得るために使用されると共に、高効率断面形状およびそれを実現する羽ばたき運動パターンの組み合わせについての数値的研究に使用される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初計画では、24年度(1年目)には「2次元羽ばたき翼模型実験装置の設計開発」および「2次元羽ばたき翼の数値流体解析コードの開発および数値的研究」を行い、25年度(2年目)には「2次元羽ばたき翼模型実験による実証試験」、「3次元羽ばたき翼模型実験装置の設計開発」、および「3次元羽ばたき翼の数値流体解析コードの開発」を行い、26年度(3年目)には「3次元羽ばたき翼の数値的研究」および「3次元羽ばたき翼模型実験による実証試験」を行う計画であった。 実際に24年度(1年目)で達成された成果は、「2次元羽ばたき翼の数値流体解析コードの開発」および「3次元羽ばたき翼の数値流体解析コードの開発」であった。「2次元羽ばたき翼の数値流体解析コードの開発」は計画通りに遂行されたが、「2次元羽ばたき翼模型実験装置の設計開発」は達成されなかった。一方で「3次元羽ばたき翼の数値流体解析コードの開発」は2年目の計画を前倒しして実施した。当初の計画に比べて、全体的にはやや遅れていると言える。 この原因として、第1に研究代表者が25年度(2年目)より所属研究機関を変更したため、使用予定であった実験設備等が変更になり、変更後の所属機関設備に合わせた装置設計を行うため、実験装置の設計開発を2年目に延期したからである。第2に、数値シミュレーションコードの開発および実験装置の設計開発において、2次元および3次元羽ばたき翼を同時に検討した方が効率的であるため、先に2次元および3次元羽ばたき翼の数値シミュレーションコードの開発を優先したからである。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では、最初に「2次元」羽ばたき翼の数値シミュレーションおよび模型実験を行い、その後「3次元」羽ばたき翼の数値シミュレーションおよび模型実験を行うという計画であったが、研究代表者の研究機関変更に伴い、24年度(1年目)では、先に2次元および3次元羽ばたき翼の数値シミュレーションコードの開発を行った。 25年度(2年目)では、開発された数値シミュレーション結果に基づき、2次元および3次元羽ばたき翼模型装置の設計・開発を行う。また、開発された羽ばたき翼の数値シミュレーションコードを用い、2次元および3次元羽ばたき翼の断面形状について数値的研究により検討する。26年度(3年面)は、25年度の成果を踏まえて、2次元および3次元羽ばたき翼の実証試験を行う。この計画により、最終的には当初計画通りの成果が得られる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究代表者が25年度(2年目)より所属研究機関を変更したため、使用予定であった実験設備等が変更になり、変更後の所属機関設備に合わせた装置設計を行うため、当初1年目に予定していた実験装置の設計開発を2年目に延期した。そのため、実験装置の設計開発費として計上した経費は未使用のまま残った。25年度は24年度から繰り越された経費と合わせて、2次元および3次元羽ばたき翼模型実験装置の設計開発費に充てる。具体的には、電動スライダ、モータ、荷重センサおよび装置製作費に主に充てられる。
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