研究課題/領域番号 |
24760671
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
横山 信宏 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 准教授 (10425788)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 実時間最適化 / 衝突回避 |
研究概要 |
高密度空域における航空機運航への応用を念頭に,3機以上の航空機間においても適用可能な,実時間計算による3次元の衝突回避経路の生成アルゴリズムの開発を行った。開発したアルゴリズムでは,3次元空間における質点として表された各航空機の最適な時々刻々の衝突回避経路を,モデル予測制御によって求めるというアプローチを採用した。具体的には,航空機の運動方程式,運動制約,衝突回避条件などで構成される非凸な制約条件を,一部にバイナリ変数を含んだ線形制約または凸2次制約として表現し,MIQP(整数混合2次計画)問題として解くことができるような定式化を行った。開発したアルゴリズムでは,MIQP問題を毎回の繰り返し計算で解くため,得られる結果が非線形計画法のように初期解に依存して局所最適解となることがなく,常に大域的最適解であるという利点がある。また,航空機の運動方程式や運動制約を自然な形で取り込むことができるため,飛行力学的に無理のない回避経路が得られるという利点もある。開発したアルゴリズムの有効性は,複数の数値シミュレーションによって確認することができた。 また,2次以上の非凸多項式制約を含む経路生成問題でも実時間で準最適解が得られるようにするために,初期推定解の求解における高次凸緩和の適用検討を行った。簡単な例題を通して,高次凸緩和によって妥当な近似解が得られることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
開発したアルゴリズムによって,3機以上の航空機間で各々が干渉しない安全な回避経路が得られること,運動性能や飛行条件等を踏まえた飛行力学的に無理のない3次元の経路が得られること,高い確率で大域的最適解が得られることという3つの条件を,数値シミュレーションを実施した条件の範囲で確認することができた。また,発展的問題である2次以上の非凸多項式条件を含む経路生成問題において,実時間計算を行うための高次凸緩和手法について,一定の知見を得ることができた。 一方,現在の回避経路生成アルゴリズムでは,経路の非干渉性を保証するための自律分散ロジックが単純であるため,機体数が増大した場合の実時間性が十分でなく,今後この点の改良が必要となる。また,アルゴリズムの実時間性や経路の妥当性については,さまざまな条件下での統計的実証を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
3次元空間において各機体が一定の制約のもとで同時に経路生成を行っても,回避経路間で干渉が起きないようなロジックについて引き続き検討を行う。特に,近年理論面での発展が著しいネットワーク制御やフォーメーション制御の分野における知見も取り入れて,機数が増大しても実時間性が担保されるような手法の確立を目指す。 また,2次以上の非凸多項式制約を含むようなより広いクラスの問題設定のもとでも,実時間での回避経路生成ができるように,高次凸緩和手法の高速化について検討を行う。 さらに,これらの方法を統合化した回避経路生成アルゴリズムについて,実時間性や経路の妥当性を実証すべく,広範な数値シミュレーションを実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アルゴリズムの内部で用いる数理計画法ソルバのソフトウェアおよびコンパイラの購入費,および研究成果発表のための旅費・学会参加登録費として使用することを計画している。
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