航空機の高密度運航に応用することを念頭に,3機以上の航空機間においても各機で独立して実時間計算を行うことが可能な衝突回避経路生成アルゴリズムの開発を行い,併せて確実に解が得られることの理論的証明と数値シミュレーションによる実証を行った。 開発したアルゴリズムでは,航空機の運動方程式や運動制約などの非凸制約条件を,バイナリ変数を含んだ線形制約ないし2次制約として表現するとともに,無限時間先まで航空機の経路間で干渉が起こらないための幾何学的制約条件を設定し,経路をMIQP(整数混合型2次計画問題)の解として求めるように定式化を行った。上記の幾何学的制約条件を用いることで,各サンプリング周期において,各機が経路をそれぞれ独立に計算するのが可能になること,およびあるサンプリング時間においてMIQPの実行可能解を見出すことができれば,以降のサンプリング時間で扱うMIQPにおいては必ず解が得られること(すなわち安全な経路が求まること)を理論的に証明した。また,バイナリ変数を用いずに大域的に最適な経路を求めるための新たな手法として,非凸制約条件に凸緩和を用いる手法の適用検討を行い,簡単な例題では妥当な結果が得られることを確認した。 さらに,2次元空間および3次元空間の衝突回避経路生成問題において数値シミュレーションを実施し,開発したアルゴリズム(バイナリ変数を用いたアルゴリズム)では,衝突回避を確実に行えること,および機体数を増加させても計算時間が実用的なレベルに抑えられることを確認した。
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