研究課題/領域番号 |
24760677
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金丸 崇 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90612127)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | プロペラキャビテーション / 変動圧力 / パネル法 |
研究概要 |
1.翼端渦モデルの構築 翼端渦の挙動を解明するため、プロペラ翼から放出された後流渦の位置が変化していく様子を安定的に算出する手法を構築した。後流渦面の変形を表現するには後流渦面における流場を正しく計算する必要があるが容易ではない。そこで、計算点と渦が近接する場合のみ、ポテンシャル渦をランキン渦として取扱い、計算点が渦糸上にあっても特異性が生じず、安定した計算が可能となるシミュレーション手法を開発した。これにより、翼端渦のロールアップ現象がリアルに表現できるに至った。なお、ここで開発した後流渦変形の計算法は付加物付プロペラ等の複雑な問題にも適用し、成果を得ている。 2.渦核モデルの構築 ポテンシャル渦では渦糸上で流速が無限大となるため、理論上必ずキャビテーションが発生するが、実際は渦核内部で有限な負圧を有するため、キャビテーションが発生するとは限らない。そこで、渦核半径を求める手法、渦核内部の圧力を表現する手法について公表されている文献等を参考にその開発に取り組んだ。具体的にはSzantry(2006)の方法を採用し、本計算プログラムにその手法を組み込んだ。これにより、仮定値を用いて簡易的に翼端渦キャビテーションをシミュレーションする方法が構築できた。 3.シートキャビテーション計算法の改良 安定性と計算時間の両面で実用的なシミュレーション法を実現するため、シートキャビテーションの計算法についても改良に取り組んだ。プロペラ翼のうち、計算対象として着目する1翼(Key blade)以外の翼には揚力面理論を適用し、Key bladeの計算精度を落とすことなく、計算時間の大幅な短縮が実現した。これにより、今後、翼端渦キャビテーションのシミュレーション法を開発するための作業効率が飛躍的に向上した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の海外長期派遣と本学実験設備の都合により、当該年度の計画のうち、実験(直進楕円翼の後流場計測)は実施しておらず、翌年度に実施することとなった。しかし、本研究の主目的であるシミュレーション手法の構築に関しては、翌年度実施計画の内容まで踏み込み、それなりの成果を得ているため、上記の達成度とする。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度に実施できなかった実験を速やかに行い、すでに達成したシミュレーション法について検証を行う。また、引き続き研究の目的を達成するためのシミュレーション法の構築に取り組む。主要な目標は以下の2つである。 1.ロールアップにより集合した翼端渦を1本の渦として扱う翼端渦表現法の構築 2.翼端渦の渦核半径を決定するための境界層厚さ推定法の構築 3.翼端渦キャビテーションが取り巻く圧力場の変化によって発達、収縮する動的挙動のシミュレーション法の構築 なお、これらの研究を効率良く実施するため計画に従いパーソナルコンピュータ、及び関連ソフトウェアを追加購入する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に実施できなかった実験(直進楕円翼の後流場計測)を実施するめに用いる。当初の計画通り、実験に用いる楕円翼、及び5孔ピトー管を購入する。
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