研究課題/領域番号 |
24760677
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金丸 崇 九州大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90612127)
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キーワード | プロペラキャビテーション / 船尾変動圧力 / パネル法 |
研究概要 |
1.翼端渦集合モデルの開発:本研究で用いているプロペラ性能計算法(パネル法)では、従来、翼端に配置された1本の自由渦を翼端渦として取り扱ってきた。昨年開発した翼端渦モデルもこの自由渦がベースとなる。しかし、この場合、パネルの分割方法など、数値計算上の取扱いで渦強さが異なり、不都合が生じるため、翼端近傍の自由渦を集合させ、1本の翼端渦として取り扱う新しい方法を考案した。これにより、翼端渦キャビテーションの大きさが適切なものとなった。 2.翼端渦キャビテーション計算法の開発:昨年度、翼端渦強さのみで翼端渦キャビテーションの大きさ(円筒キャビテーション半径)が決まるモデルを開発したものの、変動圧力の計算にはほとんど影響しないことが判明した。原因は計算のモデル化上、キャビテーションが実際の現象と異なり、安定しており、体積変動がほとんどないためであった。そこで、プロペラ後流の圧力場もキャビテーション半径の変化に反映させる動的モデルを開発した。この方法により翼端渦キャビテーションによる変動圧力成分が得られた。 3.プロペラキャビテーション計算法の開発:2による翼端渦キャビテーションモデルをシートキャビテーションモデルに組み込み、同時に計算を行う方法を開発した。ただし、翼端渦キャビテーション半径の変化はシートキャビテーションの計算とは別に予備計算としてあらかじめ行い、シートキャビテーションの計算では翼端渦キャビテーション半径の変化は既知として扱った。これにより、計算は安定性と計算時間の両面で実用的な手法となった。 4.船尾変動圧力計算法の開発:3によるキャビテーション状態のプロペラを、船体船尾に配置した船尾変動圧力計算モデルを開発した。シートキャビテーションのみの方法に比べ、変動圧力振幅等に違いが見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シミュレーション法開発に関しては、最終年度実施予定の内容を含めてほぼ予定どおり開発できており、当初の計画以上に進展しているが、昨年度実施予定の実験である翼端渦まわりの流場計測は次年度(今年度)実施する。延期した理由は、本研究室回流水槽における新しい設備としてPIV(粒子画像流速測定法)システムが導入されることが決まっており、より高精度なデータを得るには新システムの下で行った方が有益なデータが得られると判断したためである。また、当初計画の5孔ピトー管では本研究に必要な精度で計測することが難しいことが実験の詳細計画で判明した。計算と実験の両方の達成度から上記の達成度とする。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は3次元翼の翼端渦まわりの流場計測を行い、翼端形状の特性により翼端渦の集合、強さがどのように変わるかを観察し、プロペラ翼端渦集合モデルの改良に反映させる。また、プロペラ変動圧力に関する公表データの収集に努め、シミュレーション法の妥当性について検証を行うと共に、国内外の学会等でこれまでの成果を発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当研究室の実験設備である高速回流水槽において、次年度(今年度)にPIV(粒子画像流速測定法)の導入が決まっており、新計測システムによる実験を実施すべく、一連の実験を次年度に延期したため。その実験費(実験用模型製作費等)である。 当研究室の高速回流水槽においてPIV(粒子画像流速測定法)システムによる実験を行う。その実験に用いる3次元直進翼模型を購入する。
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