研究概要 |
高レベル放射性廃棄物の地層処分の実現のためにはグラウト技術が必要不可欠であるが、グラウトの懸濁液の注入はセメント粒子と流体の複雑な連成現象であるため、そのメカニズムには十分に解明されていない部分が多く、実際の設計、施工に際しては多くの実績に基づき経験的に決定されているのが現状である。そこで、本研究ではグラウチングにおける効率的な注入条件の設計を目的として,数値流体力学(Computational Fluid Dynamics, CFD)と粒状体個別要素法(Distinct Element Method, DEM)を組み合わせた 2 次元数値解析手法を用いて,セメント系グラウトの注入過程のシミュレーションを実施した。 平成24年度は、研究の基礎となる基本的なCFD-DEMコードである粒子-流体間相互作用を考慮した新たな粒子-流体連成解析コード(CFD-DEM)の開発および開発したCFD-DEMコードの妥当性および適用性を検討した。 平成25年度は、岩盤亀裂を模擬した平行平板定圧注入試験装置“short slot”を用いた過去の室内試験を対象としたより詳細なシミュレーションを実施した。特に、グラウト注入における目詰まり発生に大きな影響を及ぼすと考えられる亀裂開口幅、注入圧力、水セメント比による影響に着目し、これらを変更したシミュレーションを繰り返すことで目詰まり発生を誘引する要素の抽出およびそれらが目詰まりの発生過程に及ぼす影響の度合いについて検討を行った。これにより、グラウトの最適配合や効率的な注入条件の設計に関する知見を得ることができた。得られた成果は、国内外の学会において発表しており、国内会議での発表では優秀講演論文賞を受賞するに至った。
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