本研究計画の主な開発課題である大型ヘリカル装置(LHD)の炉心周囲およびダイバータレグ領域のEMC3-EIRENEコード用計算メッシュ開発を平成24-25年度で終え、開ダイバータおよび閉ダイバータ配位に対する輸送解析が可能になった。平成26年度は、燃料ガスである水素の供給/排気に関連する解析を行った。 計算領域内の水素(分子+原子+イオン)の総量は一定であるので、排気と同量の供給を模擬するコード拡張を行った。具体的には、閉ダイバータのドーム構造下部のクライオポンプを模擬する粒子吸収条件を設定し、次の2種類の粒子供給方法を仮定した。一つは、ガスパフを模擬するためにダイバータ板のリサイクリングによる中性ガス供給を増加させる場合で、もう一つは、ペレット入射や中性ビーム入射等による炉心粒子供給を模擬するために炉心境界からの水素イオンの径方向輸送を増加させる場合である。 計算の結果、ガスパフを模擬した場合には、ポンプ設置位置周囲を除き、プラズマ密度・温度、および中性ガス密度に大きな違いが見られなかった一方、炉心供給を模擬した場合、ダイバータ領域のプラズマ密度の減少、中性ガス密度の全体的な減少が顕著に見られた。この変化は、開から閉構造への変更時に意図していた変化である。グローバルな粒子バランスがプラズマ分布に対して非常に重要であることを示している。実験ではこれと直接比較可能な違いは計測されていないが、ガス排気装置の増強が平成27年度に計画されており、実験とシミュレーションの双方向の研究が可能になると期待される。 本研究について、2014年10月に行われたIAEA Fusion Energy Conferenceでポスター発表(TH/P6-39)を行った。また、2015年9月に行われるPlasma Edge Theory国際会議で本研究に関連する招待講演を予定している。
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