研究課題
本年度はプラントシステム解析コードおよび炉心プラズマ運転シナリオモデルの改良を継続し、炉心プラズマ運転シナリオに基づく定常運転パラメータをプラントシステム解析コードの密度・温度分布や、必要粒子供給量などといった情報に反映させた。これにより必要なトリチウム循環量を含めた核融合炉の設計パラメータを、炉心プラズマ運転シナリオと整合した形で評価することが可能になり、現在のプラズマ実験で達成されている物理パラメータ範囲での自己無撞着なプラズマ運転シナリオに対応した計算など、炉心プラズマ運転シナリオに応じた設計領域の評価が可能となった。トリチウムバランス解析においては、当初想定していたブランケット設計に応じた増殖比の評価や、炉壁等への吸着による炉心でのインベントリ評価含んだ系統的・定量的な解析には至らなかったものの、全システム中で最も多くの循環量を有する炉心への粒子供給必要量が評価できたことにより、この最小化、という意味での最適化は可能となった。その一方で、熱効率の系統的評価にも至らなかったことと、これも含む多数の設計パラメータをインプットとして与えて計算する現在の解析においては、ある特定の設計条件に限った場合でもこれらのパラメータの与え方次第で必要なトリチウム供給量が決まってしまうため、トリチウム保持量最小化の観点からの設計領域の最適化、という当初の目的の完全達成には至っていない。一方で、本研究を通じたプラントシステム解析コードの構築およびその改良により、特に炉心設計パラメータおよびプラントのパワーバランスの評価の定量的精度は大きく向上し、特定の設計条件(特に電気出力)に対する必要トリチウム循環量の系統的評価、という観点では大きな成果が得られた。これは今後の設計領域解析や、それに伴う各プラント機器の設計最適化に大きく寄与できるものと考えている。
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Nuclear Fusion
巻: 57 ページ: 066011
http://dx.doi.org/10.1088/1741-4326/aa6870