装置間比較による運動量・熱・粒子輸送と自発回転の理解と将来予測を行うために、DIII-Dにおいて、電子サイクロトロン加熱(ECH)による電子温度とイオン温度の比(Te/Ti)が1程度或いはそれ以上の高い領域での、磁気シアのプラズマ輸送と閉じ込めへの効果を調べる実験を行った。また、正磁気シアでの運動量輸送と自発回転のTe/Ti依存性を詳細に調べる実験を行った。データ解析の結果、負磁気シアにおいては、ECH入射による電子密度・イオン温度・トロイダル回転速度の減少は見られず、エネルギー閉じ込めの劣化はECH非入射時に比べて10%程度と見積もれた。一方、正磁気シアでは、ECH入射により、電子密度・イオン温度・トロイダル回転速度が減少し、エネルギー閉じ込めの劣化は約40%で負磁気シアに比べて大きい。これは、JT-60装置でも共通に観測された結果である。熱及び運動量輸送の物理機構の解明、国際熱核融合実験炉(ITER)でのECH入射時の運転シナリオ開発に貢献できると考えられる。
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