研究課題/領域番号 |
24760708
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
白石 淳也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 任期付研究員 (60513223)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 抵抗性壁モード |
研究概要 |
平成24年度は、当初の計画通り、プラズマ回転の効果を含む線形理想MHDコードMINERVAと、抵抗性壁及び真空解析コードRWMaCを結合し、トカマク配位における抵抗性壁モード(RWM : Resistive Wall Mode)解析コードMINERVA/RWMaCを開発した。先ず、回転が無い場合についてベンチマークを行った。解析的なMHD平衡解を用いて、MARS-Fとの比較を行い、幅広い壁位置や抵抗率に対し、RWM成長率が一致することを確認した。回転が有る場合については、実際の実験放電を模擬した計算結果を用いてMARS-Fコードとのベンチマークを開始した。壁位置に対するRWM成長率を比較した。しかし、成長率に数%の誤差があるため、原因を明らかにしようとしている。以上のコード開発研究と平行して、次に述べる物理研究を行った。MINARVA/RWMaCは他コードと異なり、回転に伴う遠心力によるMHD平衡が変化する効果を考慮することができる。MARS-Fのような従来のコードでは、この効果は考慮されていない。MINERVA/RWMaCの解析により、回転の変化により、幅広い壁位置においてRWM成長率が減少すること、及び安定化する壁位置領域が変化することが初めて明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画は、トカマク配位において回転を含むRWM解析コードを開発し、ベンチマークを行うことであった。平成24年度は、回転を含む理想MHDコードMINERVAと抵抗性壁及び真空解析コードRWMaCを結合することにより、目的としていたRWM解析コードを構築した。ベンチマークに関しては、回転が無い場合については終了している。回転が有る場合は、多少の誤差はあるが、おおむね成功していると言える。また、コード開発研究の過程において、回転に伴う遠心力よる平衡の変化がもたらすRWM安定化という新しい安定化メカニズムを見つけるなど、物理研究も行った。また、安定化メカニズムの解明のために、エネルギーバランス解析モジュールを開発した。これにより、来年度に開発予定の運動論的効果によるエネルギー計算モジュールを結合することで直ちに運動論的RWM解析を行える。以上より、当計画はおおむね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度はほぼ計画通りに研究が進展したため、平成25年度は当初の計画通り進める。 (1)平成24年度に開発したRWM解析コードを拡張して、実形状トカマク配位において、運動論ポテンシャルエネルギーを計算するモジュールを開発する。申請者はMHDの数値計算に関しては経験があるが、位相空間の積分に関する数値計算の知見が少ないため、この段階では、MARS-Kの開発者Liu博士の支援を受ける。このモジュールをMINERVAコードに結合し、運動論効果を評価可能な”MINERVA-K”を開発する。これは、平成24年度に新たに開発したエネルギーバランス解析モジュールに組み込むことで実現できる。 (2)プラズマ回転によるRWM構造の変化を無視して、外部キンクモードの構造を用いて運動論ポテンシャルエネルギーを計算することにより、本コードと他コードとのベンチマークが可能となる。様々な粒子運動のパラメータに対するRWM成長率を計算し、MARS-Kとのベンチマークを行う。もし、研究が順調に進んでいた場合には、ベンチマーク作業は、現地に外国出張して行う
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の計画通り、物品の購入には使用せず、ほとんどを旅費および学会参加費に使用する。平成25年度の直接経費は90万程度を予定している。使用計画は以下の通りである。 (1)旅費 (計画が順調に進展した場合)英国の共同研究者とのベンチマーク打合せのための渡英費(~50万円)、学会参加旅費(3件x10万円=30万円) (2)その他 学会参加費(2x1万円=2万円) 残りは予備費に充てる。
|