研究課題/領域番号 |
24760708
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
白石 淳也 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門那珂核融合研究所, 研究員 (60513223)
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キーワード | 抵抗性壁モード / 運動論的MHD |
研究概要 |
平成25年度当初は、平成24年度に開発した抵抗性壁モード(RWM : Resistive Wall Mode)解析コードを拡張して、運動論的効果を含むエネルギーの計算モジュールを導入することを計画していた。しかし、以下に述べる通り、運動論的エネルギーの基礎となる運動論的磁気流体力学(MHD : MagnetoHydroDynamic)モデルが、プラズマ回転の効果を自己無撞着に考慮していないことが明らかになったため、先ず運動論的MHDモデルの拡張に着手した。運動論的エネルギーの導出には、粒子運動のラグランジアンのゆらぎが重要な役割を果たす。従来の運動論的MHDモデルでは、プラズマ回転が存在しない場合のラグランジアンを用いていた。そこで、回転系におけるラグランジアンを用いることにより、回転の効果を自己無撞着に取り入れることにより、運動論的エネルギーが一般化されることを示した。新しく導出したモデルを用いて、大アスペクト比近似のもとRWM分散関係を導出した。得られた分散関係の数値解析を行い、回転シアの効果を調べたところ、新しいモデルでは、回転シアによりRWM成長率が大きく減少することが明らかになった。これは、JT-60Uの実験結果の傾向と一致している。現在、新しいモデルに基づく運動論エネルギー計算モジュールを、RWM解析コードへ実装しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度当初は、RWM解析コードに運動論的エネルギー計算モジュールを導入することを計画していた。しかし、運動論的エネルギーの導出の基礎となる運動論的MHDモデルに回転の効果が自己無撞着に考慮されていないことが明らかになったため、運動論的MHDモデルの拡張を行った。新しいモデルでは、従来のモデルとは異なり、回転シアによるRWM安定化を説明することができる。運動論MHDモデルの拡張に研究時間が必要であったため、運動論エネルギーのRWMコードへの実装作業の開始時期が遅れた。しかし、拡張された運動論的エネルギーのRWMコードへの実装作業は現在順調に進んでいる。以上より、当初の計画よりはやや遅れてはいるが、回転の効果をより正確に考慮しているという点で、研究全体としては着実に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
RWM解析コードへの運動論的エネルギーの実装は5月中に終える。その後、当初の研究計画通り、JT-60UのRWM実験解析に着手する。平行して、運動論効果を考慮したRWM解析コードMARS-Kの開発者であるLiu博士と進めているベンチマーク作業を継続する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度中に行うことを計画していた、英国に出張して行うベンチマーク作業に必要な経費(~50万円)を見込んでいたが、ベンチマーク作業が次年度に持ち越したため。 当初の計画通り、主に旅費および学会参加費に使用する。平成26年度の直接経費は125万円程度を予定している。使用計画は以下の通りである。旅費として、英国の共同研究者とのベンチマーク作業(~50万円)、学会参加旅費(国外40万、国内10万x2)で、計110万円を見込んでいる。残り15万円は予備費に充てる。
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