研究課題/領域番号 |
24760711
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
中村 誠 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門六ヶ所核融合研究所, 研究員 (80462886)
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キーワード | 核融合 / 周辺プラズマ / ダイバータ / 非接触プラズマ / 動的解析 |
研究概要 |
将来の核融合炉の成立は、非接触ダイバータプラズマ方式によるダイバータの除熱が鍵を握る。しかし、非接触ダイバータの発現機構と動特性はいまだ解明されていない。非接触状態への遷移の物理にとって、運動論的効果が重要と考えられているが、計算機資源の制約上、現状の大規模コードシミュレーションでこれを取り扱うことができない。本研究の目的は、運動論的効果を取り入れ、なおかつ現実的な計算時間で解析可能な新しい非接触ダイバータプラズマ流体モデルを構築することにある。これを用いて、非接触ダイバータプラズマの発現機構の解明や、その定常維持に必要なプラズマ条件の解明を目指す。 本研究は平成24年度から26年度までの3ヵ年計画で実施する。本研究では、運動論的効果を取り入れた新しいダイバータプラズマ流体モデルを構築する。従来使われていたプラズマ流体の拡張を行い、イオン温度非等方性が非接触ダイバータプラズマ発現に与える影響、接触状態から非接触状態への遷移に伴うプラズマの亜音速-超音速遷移、間欠的高エネルギー電子に対する非接触ダイバータプラズマの動的応答特性、さらにはこれらの相乗効果を解明する。 平成24年度に開発したイオン温度非等方性を考慮したプラズマ流体モデルを、1次元周辺プラズマ流体モデル数値解析コードへ実装した。この実装において、ダイバータ境界条件の数値化に工夫が要ることが判明した。そこで、「バーチャルダイバータ数値モデル」を新たに導入した。 この新しい計算モデルを用いて、ダイバータプラズマのイオン温度の非等方性を解析した。磁力線に垂直方向のイオン温度は、並行方向のイオン温度に比べて、数倍大きくなりうることが分かった。これは磁力線に並行方向の移流による熱輸送が、垂直方向・並行方向の温度緩和よりも大きいためである。また、ダイバータターゲット近傍でプラズマ流速が超音速になりうることも分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開発したモデル方程式を数値計算コードに実装をする際には、境界条件の実装が重要である。ダイバータプラズマの境界条件は、非線形性が極めて強い特殊な形式であるため、従来の数値流体力学で知られている境界数値計算スキームの適用が難しく、数値計算を行いながら試行錯誤を繰り返す必要がある。この試行錯誤に予想外の時間を要したため、平成24年度は当初計画よりやや遅れる結果となった。 平成25年度は24年度の未実施事項を優先して行ったため、25~26年度の実施予定項目の達成に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に新たに導入した「バーチャルダイバータ数値モデル」により、遅れが生じていた平成24年度の実施項目を達成することができた。 26年度は、「バーチャルダイバータ数値モデル」を援用して、当初計画で25~26年度実施する予定であった(i)ELM高エネルギー電子を考慮したプラズマ流体モデルの開発、(ii)ELM高エネルギー電子による再接触過程の動的解析、(iii)運動論的効果の相乗効果の解明を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においてコード開発・計算実行用計算機の物品購入費を計上していたが、遠隔地の関連分野研究者との議論の便宜を図るため、当初の想定よりも低スペックで安価かつ可搬型な計算機を購入していた。さらに、研究進展の想定外の遅れのため、当初予定していた外国での国際会議の参加を見送ったため、そのために計上していた旅費を使用しなかった。 以上のような理由のため、次年度使用額が生じた。 研究進展の促進のため、単一CPUの優れた計算機サーバ、ならびにその計算機で用いる開発・解析用ソフトウェアの購入費用を計上する。さらに、研究で得られたデータを格納するためのバックアップHDD等の消耗品費、原著論文の投稿・掲載にかかる費用を計上する。 研究成果を発表しダイバータプラズマモデリングについて国内外の専門家と討論・情報交換を行い、非接触ダイバータプラズマ形成機構解明をより一層進展させることを目的として、国内学会・国際会議への参加、国内の関連研究を行っている研究者との意見交換のための旅費を計上する。
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