今後の研究の推進方策 |
耐食性の向上のため、計画の変更が必要である。今回の腐食試験後の観察において、酸化膜中に細かいクラックが数多く見られ、また残留応力が小さかったことから、むしろ分散させたSiCとジルコニウムの界面が腐食反応が進む起点となり、腐食後のジルコニウム酸化物とSiCとの間に機械的相互作用がなくなっているものと推測される。このため、耐食性向上にはジルコニウム金属相と強固に結合しているだけでなく、腐食後も形成されたジルコニウム酸化物との界面が強固に保たれる分散物でなければならないと考えられる。このため、平成25年度は次の実験を行う。まずマクロなサイズでジルコニウム板材と様々な分散材をはり合わせ、界面を形成させる。その後腐食試験を行い、界面近傍の酸化膜の性状を観察する。このときの界面の結合具合を応力測定などで評価し、もって適した分散材を推定することを目的とする。比較対象として、従来合金の析出物であるZr(Fe,Cr)2, Zr2(Fe,Ni), Nbを用い、本研究で着目するSiCなどのセラミック材との違いを評価する。腐食メカニズムの基礎に関わる有用な知見が得られると考えられる。
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