研究課題
マンガン酸化物は様々な重元素を強く吸着することからアクチノイドの移行を遅延させる効果があると考えられている。環境中に存在するマンガン酸化物のほとんどは微生物が形成したと考えられている。そのため、アクチノイドの移行挙動を議論するためには生物性マンガン酸化物へのアクチノイド吸着挙動を調べる必要がある。最終年度である今年度は生物性マンガン酸化物へのPu(IV)吸着挙動を調べた。Pu(IV)の吸着挙動をTh(IV),Np(V),U(VI)と比較した結果、U(VI)の吸着挙動と類似していることが分かった。前年度までの研究成果からTh(IV)は一旦マンガン酸化物表面に吸着された後、時間とともに脱着していくことが明らかとなった。これは微生物が排出する有機物の影響と考えられるが、Pu(IV)吸着挙動にはそのような脱着は認められなかった。これらの実験結果はPu(IV)がマンガン酸化物表面に吸着した後、Pu(VI)へと酸化されたことを示唆している。また、Np(V)は非生物性マンガン酸化物へ強く吸着するのに対して、生物性マンガン酸化物へはほとんど吸着しなかった。これは両者の構造に関係している可能性があり、今後詳細に調べる必要がある。生物性マンガン酸化物は非生物性マンガン酸化物と異なり特異的なアクチノイド吸着挙動を示すことが明らかとなった。このような特異的な吸着挙動は両者の構造の違いや微生物が共存することでそれらが排出する有機物の影響が大きいと考えられる。環境中でのアクチノイドの移行挙動を評価する上で微生物活動が重要であることを示す研究成果となった。
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